第4話
2人は、訓練所的なところに向かって歩き出した。しばらくして急にモゾッと、黒夜叉の懐から何か黒い小さなものが出てきた。そして、
「フィー!!」
と、鳴いた。
「うわぁっ!! な、何ですか!? それは!!」
「ああ、この子? この子は、ノームって言うんだよ。スピリットの1人だったはずだけど……」
黒夜叉は、ノームを撫でながら答えた。
「スピリット……?」
「知らない? 4大元素は知ってる?」
「火、水、風、地の四つの元素ですよね。でも、関係あるんですか?」
「スピリットは、その四台元素を実体化したものなんだ。サイの強い能力者の元に現れるらしいんだけど。でも何で、オレんとこに来たんだろう? もっと強い人もいたのにな。あ、スピリットはサイの 能力を吸収して強くなっていくから強い人のとこに現れるらしいよ。もしかすると、蒼のところに来るかもね」
「だといいですけど。自信ないですね」
そうこう言っているうちに、訓練所的なところについた。結構広いし、丈夫そうだ。かなり暴れても大丈夫だろう。ただ、未だに銀介が怒った時の傷が直されていないようだ。ひびの上にクリスタルで補強されている。
「あの…… 暴れても、ここ…… こわれませんよね?」
「多分……」
「多分!?」
「銀介を信じよう。さ、武器を出して」
「ハイッ!」
意識を左手に集中させる。左手のひじから青色の半透明なクリスタルに包み込まれていく。そして、剣のようにクリスタルが鋭くなり僕の武器になった。
「リーチは伸びないが、扱いやすいタイプの剣か……」
黒夜叉が、両方の剣を同時に出しながら言った。銀介と戦った時の剣だ。
「じゃあ…… 始めるよ」
言い終わると同時に、走りこんできた。