第37話
「いや、死ぬまでいかなくていいか。とりあえず、意識を飛ばせばいいか」
風を切る音が2人の耳をかすめた。そして、1拍おいて2人の体が後ろへと飛ばされた。
「きゃぁあ!」
「うわぁっ!」
飛ばされた白阿修羅は頭、黒夜叉は背中をしたたかに打ちつけた。白阿修羅はそのまま動かなくなってしまった。
「大丈夫か、白狐! 白狐!?」
黒夜叉が懸命に呼びかけるが、反応がない。
「白狐はもう飛んだな。あとは玄だけだな?」
ルークがゆったりとした動きで近づいてくる。青龍刀を取り出し、いつでも応戦できるようにしておく。
「オレの名前……。共通の知り合い……か?」
「さあ? どうだろうね? そろそろいくぞ」
ルークがかまえながら言い終わると同時に、武器を持つ手を狙って攻撃を仕掛けてきた。攻撃をはずしてもなお、攻撃を仕掛けてくる。その攻撃は身体能力の高い黒夜叉でさえ、攻撃をさばくので精一杯なほど早い。
「ウァッ!」
「ほらほら、どうした!? その程度かぁ!? もっと楽しませてくれよ!」
攻撃をはじいた勢いで、倒れる。ルークは精神が高揚しているのか、その顔にゆがんだ笑顔を浮かべる。
「お前はいっつもそうだったよなぁ! 戦っている最中に絶対に転ぶ。ここぞっていうときほどな!」
ルークは口元をペロリと舐めると、武器を作り出した。盾と剣が一体化した特殊な武器だ。その武器の盾の部分にマークが刻まれている。そのマークを見た黒夜叉は目を見開いた。
「そのマーク…… 翡翠か……?」
その言葉を聞いたルークは顔色を変えた。
「その名前で呼ぶなと言っただろうっ!!」