第35話
「今回は2人で行ってもらおうと思う」
「……え!?」
2人が驚くのも無理はない。銀介が次の任務に選んだのは白阿修羅と黒夜叉の2人だったからだ。
『危険だから2人以上で行動』と決めたとき、戦闘力の高い2人は一緒に行動することもないだろうと高をくくっていたからだ。
「だ、大丈夫なのか? オレたちを2人とも行かせて?」
「2人だからだよ」
間髪いれずに銀介が答えた。パッと地図を広げ、大陸の赤で埋めつくされている地域を指差す。指差された地域を見て2人は固まる。
「2人なら分かるよね?」
示された地域は火山地帯。活火山が多く、高い気温と少ない酸素の地域。こんな所でまともに戦えるやつなんて早々いないだろう。そんな場所だが、なぜか凶暴なモンスターと言っていいような猛獣がうじゃうじゃといたりする。こんなところに行くのは正直、バカとしか言いようがない。
「できるだけ近くのところに降ろすけど、ここまでは歩いていってもらわないといけないから。大変だと思うけど、2人なら大丈夫だ」
銀介は笑顔というより、鬼畜的な笑み浮かべてそう言った。
「旅の人。どこへ向かわれますかな。この先は火山群しかありませんぞ?」
現地人と思われる人に、声をかけられた。当たり前だろう。死にいく人ぐらいしか通らない道なのだから。
「ちょっとした依頼で、この先に用事があるもので。腕のいいボディーガードがいるので大丈夫ですから」
にっこりと微笑みながら、適当に嘘をつく。「オレッ!?」と言いたそうな顔をしながらも、玄はそれにのり、うなづく。
「そうですか。腕の立つ者でも帰ってこぬものもいます。お気をつけて」
「ご心配ありがとうございます」
それだけ言い、その場を離れる。
遠くの火山を見つめ、白狐はつぶやいた。
「道のりは遠いわね……」
「白阿修羅と黒夜叉に忍び寄る影……。その影の正体とは……!
次回『絶体絶命!?2人に忍び寄る影』お楽しみに!」
「……銀介さん。3回目はないと思ってくださいよ?」
「……すいやせんした……」
ごめんなさい。悪ノリです。ごめんなさい。