第33話
とある建物の1室。
「大丈夫か? クイーン?」
男がそっと、震えているクイーンの背中をなでた。
帰った瞬間、ドッと噴き出すように疲れとも恐れとも呼べるような不思議な感覚がクイーンを襲った。その場に座り込んでから、彼女は動けないでいる。
「大丈夫……。大丈夫よ…… ナイト……」
自分に言い聞かせるような感じで、クイーンは返事を返す。
「何があったんだ?」
「……天空界の守護神に会ってきた」
やっとのことで口にした名前を聞いたナイトはその名前に関する記憶を探り始めた。その間に、クイーンは話を進める。
「今は“あお”って呼ばれているみたいだったけど、あれは間違いなくキングの言っていた守護神だと思う。でも、聞いていたより幼い姿だったわ」
ナイトは『守護神』と聞き、その存在を思い出した。
天空軍の第零部隊長。そして、存命する唯一の虹のサイの持ち主。高い戦闘力を持ち、彼が所属する限り天空軍に敵対するものはいないとまでいわれている。――ただし、数年前に行方不明になったと聞いたが。
「本当に守護神だったのか?」
「……間違いないわ。虹のサイを使ってきた。使い慣れてるみたいだったわ」
思わず虹色の巨鳥を思い出だし、体が震える。あの大きさで全色同時発動。明らかに使い慣れていて、能力が高くないと使うことができない離れ業だ。ナイトに聞こえないよう、そっと呟く。
「……私のせいで、良くないものを呼び起こしたかも知れないわ……」
「ん?」
微かに聞き取られたのか聞き返してきたが、なんでもないような素振りをした。
大地震があり、大変な状況なのですが、元より受験終わりのこの日曜に更新する予定があったので、本日更新させて頂きます。