第31話
「……で、どうする?」
「どうするも何も、あなたのせいですよ? 責任とってくださいよ?」
どうやらヒカリのカケラを見つけたまでは良かったが、戦闘中に気を抜いてしまい印としていたサイを消してしまったらしい。
「……ん……」
「あ、蒼。大丈夫か?」
「……俺は……? …………! あれ、銀介さん? 大丈夫って、何がです?」
キョトンとしたような声を上げる。痛いのを我慢しているような声ではないようだ。
「気、失ってたんだぞ? 頭打ったし」
「それぐらいで、大げさですよ? 僕の頭から血が出てるわけでもないんですし」
そういって、頭をさすった。いつもの同じ声、いつもの変わらない不思議そうな表情、いつもの蒼だ。
「あ……、そうだ。蒼」
「はい?」
「サイ、使ってみろ。青色以外のな」
「……はい? ……銀介さん、僕のサイ……知ってますよね?」
「ああ。でも、やってみろ。もしかしたら……」
蒼はちょっと悩んだ末、集中し始めた。ブツブツと「青以外……青以外……」と小声で繰り返しつつ。蒼の両手の間に球体が現れる。青色ではなく白色だ。若干青が混じって、ビー玉のようになっているが。
「……うそ、できた……」
蒼自身、驚いたようだ。そして驚いたことに、混じっていた青色を白に変えたり、黒1色にしたりとくるくると色を変える事が蒼にもできるようだった。そんな蒼を見て、ウンディーネは険しい顔をした。
(どうしよう……。運命の書と軌道が外れた。戻らなければ……。これはちょっとやばいかも……。それよりも……)
「どうした、ウンディーネ? そんな険しい顔して?」
「どうやって帰るつもりですか? 日が暮れたら、危険なんですよ?」
ぱっと表情を変え、なんでもないような顔をした。銀介はそんな様子を見て、帰り方で悩んでいたと思ったようだった。
「え、どうやって帰るって……。まさか……」
心なしか、狼の遠吠えが聞こえた。……気がする。
そうしている内にも、日は無常にも徐々に沈んでいくのでありました。