第3話
久しぶりに見る、怒った銀介。長い髪がまるで、蛇のようにうねっている。この後、さらに怒り目が赤く光るともう誰にも止められない。僕も昔、銀介さんの逆鱗に触れたことがある。その時は、怖かったの何の。サイをところかまわず使って、破壊しまくり。壊れた所は、クリスタルで直るまで塞いであった。
「銀介さん!! コイツが悪いんです!!」(ハモリ)
「どっちの言い訳も聞かない…… 喧嘩両成敗だぁ!!」
銀介は、サイで持ち手の長い斧を作り出しケンカしていた2人に向かって走り出した。そして、跳び斧を振りかざした。が、2人のほうもサイの使い手のようで黒髪の方は日本刀のような剣と青竜刀のような剣で、銀髪の方は変わった形のトンファーで受け止めた。
「両成敗じゃ納得いきません!」(再びハモリ)
2人はいきピッタリで、銀介の斧を跳ね返し同時に銀介をけった。
「銀介さん!! 大丈夫ですか!?」
銀介は、ため息をつくと立ち上がった。髪が元に戻っていて、怒りが治まったようだ。
「さすがは、“黒夜叉”に“白阿修羅”だ。戦いのエキスパートだな。手が出ないや」
「実践で経験を積んだんだからな。……で」
2人の視線が、僕に向かう。
「……あ、そうだったな。こっちは、藤田 玄。通称黒夜叉。黒のサイの持ち主で、かなりの甘党」
「よろしく」
「よろしくお願いします」
黒髪の方が、頭を下げた。
「で、こっちが小雪 白狐。通称白阿修羅。白のサイの持ち主で、見た目は男っぽいけど女ね。確か、辛党だから気をつけてね。一味1瓶かけられないようにね」
「……よろしくな」
「よろしくお願いします」
銀髪の方が、腕を組みながらぶっきらぼうに言ってきた。
「で、コイツが蒼。6年前に来たってメールを送ったから、わかると思うけど。あ、玄。しばらくコイツのサイの訓練見てやってくれ。ちょうど、オレよりも上になりつつあるし。いきなりで悪いけど、たのむよ。じゃ」
銀介は、それだけ言い残し食堂に入って行った。
「え…… オレ?」
「…………」
「………………」
「……………………ま、頑張れ」
そういうと、白狐は去っていった。
「…………よろしくお願いします」
「あ、ああ。お互いに」