第29話
「そう。あたし、強い人が好きなの。でもね……」
そういうと、クイーンは息を整えた。
「あたしの蹴り1発でへたばる人なんかが、相手になると思って?」
「相手になるかどうかは……」
爪がクイーンの腕をかすった。
「手前しだいじゃねぇの?」
そういうと蒼は、白と青のサイで腕を覆った。色違いで、両手に鉤爪。
「来いよ。どっちの色でも消してやるよ」
「なかなか言うわね……。でも、コレならどう?」
クイーンのムチが、灰色に変わる。1人でクロスオーバーをさせたようだ。
「別に……。コレといって、障害は無いが?」
「そう? でもね、1人で2倍のサイを使っているの。同じ大きさでも……ね」
ムチが空を切り裂く。それを両手で受け止める。
「っく……。なるほど、ダメージは2倍以上ってことか? ま、1人クロスオーバーなんていう“サビシイコト”をしているやつなんて見たことねぇしな。コレは予想外だな。でも、コレも予想外じゃねぇの?」
ムチは再び崩壊していった。
「なん……で……?」
「白いサイと黒いサイに分けて分解しただけだ。いつもクロスオーバーしてくるやつに、対処しているからな。色混ぜれば、分解されないとでもおもったか?」
「確かにね……。でも、もう戦えないんじゃない?」
クイーンは蒼の両手を指していった。痺れる左手で、痺れの強い右手をおさえたまま言い返す。
「確かに、もう戦わなくなるな。……あと、1撃でお前を倒すからな」
「何、馬鹿な……え」
動こうとしたクイーンの足には、何かが巻きついていた。その何かに、紋章のようなものが浮き上がる。
「コレは……! 天空軍のっ」
「ご名答。悪いけど、最後に力の確認させてもらうぞ」
そういった蒼の背後に、虹色に輝く巨鳥が現れた。