第26話
「蒼、また仕事を頼みたいんだけど」
「はい?」
今回は、すごく深い森に行くことになりました。1本の大樹にヒカリのカケラがあるらしい。上空から偶然見えただけで、ハッキリとした場所は分からないが。
「で、今回一緒に行くメンバーなんだけどさ……。みんな出払っててね……。一緒に行くのは」
ここで銀介は1度ふっと力を抜き、息を吸った。
「ぼっくでぇぇす!」
銀介はテンションをかなり上げて、叫んだ。
「……」
「すみませんでした……」
森に着いたところで、迷わないように木に印をつけていく。木の枝に、銀介がサイで印をつけるそうだ。
「あれ? ウンディーn」
「いますよ、ここに」
全部言い終わる前に即答。
「さすが、ウンディーネクオリティー……」
「銀介さん、殴っていいですか?」
これも、ウンディーネクオリティー。
その深い森に、銀髪の人のものと思われる悲鳴が響いた。
「で、ヒカリのカケラってどこら辺にあるんでしょうか?」
「んー。もう少しかな?」
そんな感じで歩き続けて、足が棒になりかけたころ。
「着いたよ。ここだね……」
見上げると、大樹の葉の中に何かが光っている。それは、見覚えのある暖かな光だ。そして、その光の下には――。
「――人? 何で、こんなところに?」
その声を聞いて、人影がこっちを向いた。
長い髪が、風で揺れている。その顔を見て、銀介が固まった。
「久しぶり、蹴り鬼君? それとも、銀介って言った方がいい?」
顔にかかった髪を上げながら、彼女は言った。