第24話
「コレは、色を“クロスオーバー”させたんだ」
そういって、黒夜叉は目の前に灰色の球体を動かす。
「蒼、お前くらいなら簡単にできるよ。きっとね。やってみようか?」
白阿修羅が粒子状のサイを出す。そのサイは、同じところをぐるぐると回っている。
「同じところに、サイを出してみて」
「はい」
白のサイが回っているところに、青いサイを混ぜていく。
「そろそろいいかな? 球体に仕上げるよ?」
白阿修羅の声とともに、広がっていたサイが一箇所に集まりだす。そして――
「できた……」
水色の球体が目の前に浮かんでいる。
「ね、簡単だったでしょ?」
「まぁ。コレはな」
「なんで、あんたが答えんの?」
「まぁ、いいじゃん。次は、固定についてだな」
黒夜叉が、言い終わると同時に蒼の両足首にサイを使う。
「え?」
「蒼、右足を動かしてみろ」
言われた通り動かしてみる。別に、変わったところはない。足首のサイは、そのまま足についてくる。
「次、左足」
今度は左足を動かしてみる。……が、動かない。動かそうにもサイはそこに固定されていて、動かせなかった。
「え、うそ」
何回挑戦しようが、結果は変わらない。
「コレが、固定の違い。物体に固定するか、空間に固定するかで違うんだ。物体に固定するのは無意識でもできるけど、空間に固定するのは意識してすることとちょっとしたコツがいるんだ。あと――」
いきなり、左足が自由になりバランスを崩す。右足は自由なままでよかった、と思ったとたん右足は空中に固定された。
「こんな風に切り替えることもできる」
ちょっとニヤニヤしながら、黒夜叉はサイを操って蒼の右足を空中から下ろした。