第20話
「ん。ふぁ~あ。……あ!!」
九火は目を覚ました。ほとんどの人が部活か帰宅した後だった。
「やべっ! また、6時間目寝ちまった」
「遅いお目覚めだな、九火?」
九火の目の前には、ちょっと濃い水色の衣装で赤い帯をしめた天狗の格好をした男が立っていた。
「また、お前か。何、今度は天狗? この前は、狐面だったか? なぜ、素顔を隠すんだ?」
「これで、期限は過ぎた。お前は、覚えているか? 俺を?」
天狗の面をとり、男は言った。仮面の下は、比較的整った顔立ちだった。が、変わった化粧をしている。鼻筋を強調する線とまぶたの上に目じりのあたりが跳ねた線が紅色で引かれている。
「……ああ、覚えているとも。この前、いきなり戦いを挑んできたよな?」
「覚えているようだな……。約束だ。教えよう、我らスピリットについて」
「スピリット?」
数日後
「おはよう、九火。学校来るの早いね」
「おはよっ! 蒼。お前もいつもより早いじゃん?」
教室の中にいるのは九火と蒼だけだ。
「ほら、今日は1時間目って“サイ能力テスト”って書いてありましたから。どういうのかよく解らなかったから、誰かに聞こうと思って」
「簡単だよ。10秒でどれくらいの大きさの球体を作り出せるかっていうのと、どれぐらい正確に造形できるかの2つ。ちなみに、前回の造形物は『馬』だった。今回も動物だと思うよ」
「動物かぁ。動物といってもいっぱい種類あるし……」
そして、1時間目……。
「はい。じゃあ、テスト始めるわね。まずは、10秒で球体を作るやつね。出席番号順に7人づつ5列に並んで……」