第18話
「なんか…… 教科書多くない? 10教科だよね?」
「……の、はずなんですけど……。30冊はあるような……」
部屋に運んだが、机の上は教科書に埋まった。
「実技教科とかに、2教科で1教科っていうのもあるガ。ワ−クの量とかも考えれば、普通と思うガ」
「なるほど」
「そ…… そうなの!?」
納得した僕。その横で1人驚く黒夜叉。
「鞄はかなり重くなるガ。頑張るガ、蒼!」
次の日。
「えっと。皆さん始めまして。虹崎 蒼と言います。よろしくお願いします」
「私は、水知 愛といいます。よろしくお願いします」
「みんな、水知さん、虹崎君と仲良」
先生の声を遮るように1生徒の声が聞こえた。
「オッス! オレ、きゅーびって言うんだ。ここに来たって事は能力者だろ? 何色のサイ?」
「私は青」
「僕も青色。君は?」
先生が話しに入ろうとしているが、入るタイミングが分からず悩んでいる様子が視界の隅に映る。
「赤! よろしくな! 蒼、愛! うぉぅっと」
「ちょ、九火! 気をつけてよ!」
「わ、悪ぃ」
九火が奇声を発したときに、右腕のほうからスルリと山椒魚が出てきた。落ちそうになっていたが、九火につかまれて難を逃れた。右側の女子が「だからこいつの隣はいやなのよ……」とか、ブツブツ文句を言っている。
(!? 山椒魚!? そして、赤色のサイ…… もしかして)
「さ、山椒魚つれてきてるんだ……」
「こいつ、ちょっと特殊でね。おいて行こうとしても、ついて来るって言うか、先回りして学校にいるから、特別許可おりちゃってるんだ」
「へー、なんかすごいね(棒読み)。ま、私だったら怖くて攻撃してるだろうけど」
「!?」
最後に口元だけ笑みを浮かべながら、ぼそっと言い放った言葉に山椒魚は震えだした。
「……どうした? 顔芸なんかして? サラマンダー?」
その名前を聞いたウンディーネは思わず鋭い目になった。が、すぐさまその表情を元に戻した。その時間は誰にも気づかれないほど一瞬だった。ただ1人、サラマンダーを除いて。