第16話
「バナナの皮で転んだ隙に総攻撃って感じの作戦で、どうかな?」
「う〜ん…… やっぱり、無理が無いですか?」
銀介は、色々と敵に対する作戦を言ってみた。が、全部却下された。個人的には、自信のある作戦らしいが。
「そうかなぁ? エリーは、どう思う?」
「大丈夫じゃない? ギリギリね」
「いやっ、無理ですよ!引っかかりませんよ、普通は。…………あれ」
そこには、薄い黄緑色の髪をバンダナで留め、紅色の瞳をどこかにそらしながらいかにも興味が無いといった素振りを見せた人物が居た。ミィーティングから参加したようだ。
「エ、エリーさん!! まさか、厨房から出てこられるとは」
「あら、私だって戦うわよ」
そういって、フライパンを構える。エリーこと、エリザベス・ケイシーはCOLOR本部のコックである。緑のサイの使い手らしい。女性のわりに服とかに興味が無いようで、ジャージの上下と男っぽいスニーカーが私服のようだ。
「むしろ、戦いの方が……好」
「と言うより、作戦なし作戦の方が戦いやすいと思うけど……」
「おれ、そっちにさんせーい」
今日は、機嫌がいいのかノームはよくしゃべる。それに対して、ウンディーネはさっきのことが相当恥ずかしかったと見える。
「私も、作戦はいらないと思う」
「ぼくも」
「……同じく……」
黒夜叉の意見に白阿修羅と蒼、テンションの低いウンディーネも賛成する。
「じゃあ、この作戦会議の時間はなんだったんだ!?」
銀介は、机を叩きつつ勢いよく立ち上がった。
(どっちみち無駄だったんじゃ……)
銀介以外、みんなの思いがシンクロした瞬間でした。