第12話
「こう…… かく……?」
「そ、光角。返してくれないんだったら…… 痛い目あっても知らないよ」
「渡せないガ!!」
「そうかじゃあ、しかたないね。おいで」
ノックする音がして、扉が開いた。
「銀介。実験室の鍵、貸してほしいんだけど」
「ああ、白狐。どうしてまた」
「ちょっと気になることがあって」
「気になること?」
「これを見て。ここ」
渡された書類には、ヒカリのカケラについて書かれていた。指差された部分の文字は、「特殊能力・アリ」。
「大方、銀介の予想通りだった。こっちの2つも見て」
今度は、「特殊能力・ナシ」。それと、「特殊能力・−」。
「なんだ?この横線は?」
「それはね、実験した後に能力の詳細を調べるためにもう1度実験したの。でも、能力が発動しなかった。実験の間に変わったことといえば、他の…… 似た形をした、ヒカリのカケラがこのカケラから離れたことぐらい。もしかすると、あるカケラとあるカケラが近くにあると能力が発動するのでは? っていう確率があってね。わからないから、この表示にしたの」
「そういうことか。こういうことは、思いっきり追求してもらいたいね。はい」
机の引き出しを開けて、小さな鍵を取り出した。その鍵を白阿修羅に渡した。
「……!! 後ろっ!?」
振り向く隙もなく、鋭い一撃がヒットした。何かの爪だったのか、服が破けている。
「ボクは、直接手を出さない。一撃で、勝負が決まってつまらナイから」
「こんの野郎!! なめやがって! ゼッテー負けないガ!!」
ギアさんが拳を額の前にちょうど刃がぶつからないように構え、勢い良く振り下ろした。
「カラーチェーンソー・ソル、始動!!」
そう叫ぶと手裏剣の4枚だった刃が8枚になり手裏剣自体も大きくなった。ニヤッと笑うと、すごい勢いでさらに高速で回転し始めた。もう、刃が早すぎて中心の部分しか見えない。
「これで…… どうだっ!!」
両手を振ると、手裏剣がすごい速度で木の上の敵に向かっていった。打ち出した反動で、左腕の破れた袖が地面に落ちた。その腕はものすごい数のいれずみで埋め尽くされていた。
「!! ふ〜ん……。キミのその腕…… ギアだね?」
「なぜ知っているガ!?」
「さあ? 知りたければ…… このコを倒してみな!!」