彼と彼女と正月と
「あけおめ、恭介」
「…………どうしてお前がここにいる」
目を開けると、幼馴染……いや、彼女である椎名が隣に座っていた。
「昨日恭介と年明けだってことで一緒に過ごしてたでしょうが」
「………………そうだっけ」
「寝ぼけてるわね。 なら一発で現実に戻る方法があるけど、どうする?」
「絶対にろくでもないことなんでパス」
こぶしを作って微笑む椎名にそういって、ソファーからおきた。
俺の名前は川島恭介、そして、俺が椎名と呼んでる奴は、坂上椎名 まぁそこら辺にいる高校生だ。
俺たちの関係は、つい最近まで、幼馴染だったが、とあるきっかけにより、付き合うことになった。
まぁ、そのとき俺は暴走してしまって、しばらく椎名になじられることになったが、それはまた別の話ということで。
で、何で今椎名が隣にいるかというと、今の時間は一月一日0時00分 つまり新年が始まったばかりという時間だ。
まぁ、一月一日の前の日は大晦日というわけで、俺の家で年明けを過ごそうということで、昨日から椎名はいたわけだが、大晦日という年の瀬でテンションがあがり、お酒を飲んで寝ていたというわけだ。
「あー、だるい」
「あんなに飲むからよ」
「そういえば、お前は飲まなかったな」
「私まで酔ったら収拾がつかなくなるでしょうが」
椎名は、あきれたような顔していたが、すぐに気を取り直したようだ。
「さて、初詣行きましょうか」
「この時期は、混んでるぞ。 それに今は寒いぞ?」
そうこの時期の北海道は寒く、マイナスなんて当たり前で雪はあるし、風はあるし、とにかく寒い。
「うっさい。 そう言って毎年行きたがらないんだから。 年に一度の初詣ぐらい行きなさいよ」
「毎年そうだけど、お前ってこうゆうイベント事好きだよな」
「…………別にあんたと行きたいわけとかじゃないからね」
椎名の声が小さくて聞こえなくて聞き返す。
「えっ、なんか言った?」
「なんでもないわよ!!」
いきなり怒り出した椎名の頭を撫でながら行く準備を始める。
「ほれ、わかったからいくから機嫌直せ」
「ふん」
ふんと言いながらもなんだか機嫌がよくなってきた椎名を疑問に思いながらも、準備を始める俺。
「寒い寒い」
扉を開けるとそこは銀世界だった。
と、どこかの文豪みたいな始まりだが、そうも言いたくなるほど外は、雪が積もっていた。
「寒いわね」
「あぁ、そのマフラーくれ」
「やらないわよ」
「じゃあ入れろ」
「……仕方ないわね」
そういって、二人でマフラーを巻きながら、手をつないで神社まで向かう。
「それにしても、お前の手はあったかいよな」
「そんなこと言ったら恭介の手もあったかいわよ」
少し、顔を赤くしながら椎名が言う。
可愛い。
「やっぱりお前は破壊力満点だわ」
「???」
俺の言葉を不思議そうに首をかしげる椎名。
やっぱり可愛い。
「やっぱり俺の彼女は可愛いわ」
「〜〜〜〜〜〜」
顔を真っ赤にした椎名を連れて、神社まで進むのであった。
「着いたか」
「相変わらず人が多いわね」
毎年のことだが、この北海道の一番大きい神社は、それこそどこから沸いてきたんだお前らって感じに人でごった返しだ。
「離れるなよ?」
「うん」
素直にうなずく椎名とともに、その神社に足を踏み入れるが、
「うわぁ」
「キャッ」
そう簡単に人の波には逆らえず、もみくちゃにされる俺ら。
神社に入ってお参りして、帰るまで1時間以上かかった。
「はぁー疲れた」
「ほんとね」
近くの公園で自販機のココアを飲みながら休憩していた。
「それにしても、新しい年ね」
「そうだな、いまだに実感なんてないけどな」
「みんなそんなもんでしょ」
「まぁ、実感がないのはこの関係性もなんだがな」
「それってどうゆうことよ、って言いたいところだけど」
と、そこでいったんとめて
「そうよね。 私も実感ないし」
でも、と続けて、
「これから私たちでその実感を築いていけばいいんじゃない?」
と、微笑む彼女に目を奪われてしまった。
「ん? どうしたの? なんか私変なこと言った?」
「ほんとに破壊力ありすぎ」
「えっ……」
と、キョトンとした椎名にキスをする。
しばらく、暴れたが徐々に収まり、俺も唇を離した。
「いっ、いきなりなにするのよ」
「したくなったから仕方ないだろ」
「人目があるでしょ!!」
「大丈夫だ。 ここら辺は人がいないから」
「それにしても……あっ」
「ん?」
椎名が声を上げたほうを向くと初日の出が出てくるところだった。
「きれい」
「きれいだな」
しばらく、ぼーと見ていたが、すぐ日は上に登ってしまった。
「今年もよろしくな椎名」
「こちらこそよろしくね恭介」
そんなことを言って二人して笑い出すのだった。
fin
皆さん お久しぶりです?
はじめましての方は、前作を見ていただけると嬉しいです。
さて、今回はお正月です。
こうした節目節目に短編をあげれたらなぁと思います。
ただあまり中身がないかも(笑)
ただただ二人がいちゃつくだけですのでご注意を
それでは またの機会まで