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事件が起きるのは放課後で

「と、いうことでお嬢にはロイの魔封じがかけられているということが確実になりました」

 私は拓馬と体育館裏で相談する。

「リオナがどうにかおさえてはくれてるんだろ?」

「リオナじゃなくて利緒!」

 拓馬に向かって注意する。学校にいる間はその名前で呼ばないことに決めてるのに。

「わりぃ。でも早めにどうにかしねぇとまずいんじゃねぇのか?」

「まずいわよ。まずくないわけが無いわ」

 はぁ、あんな高度魔法使いの魔封じなんて解けるわけが無い。中途半端に決ってるけどそれでも解けにくいようにはしているはず。

 解けなかったらまずいわね。

「はぁ。悩みの種を増やさないでほしいわ」

 ただでさえ、向こうの仕事がたまってきててルカがなかなか戻れないときに。それにロイと一緒にライもきてるし。どれだけ私の仕事を増やす気か!

「ロイの魔封じは利緒に頼むとして。さて、どうやってロイとお嬢を引き剥がすか」

 私の視線の先にはクラスの女子から逃げているロイが映っていた。

 教室に戻ると美咲が神妙な顔で俯いていた。何か悩んでいるみたい。私が割り込めそうなことではないでしょうね。黙って横にすわっとこ。

 さて・・・。本気でどうするかな。

 ロイは私とリオナでどうにかなるけど、ライまで加わられたら何もできなくなる。やっぱりルカが私たちの要なんだよね。正確な指示と絶対にかつ戦略。それにあの強さ・・・。お嬢を守れるのはルカしかいない。

「ねぇ、愛美」

 あーもう!なんで向こうはてだれが二人もいるのか!

 一人で頭を抱えて悩む。

「愛美!!」

「はいぃ!?」

 耳元でさけぶな!

「なによ~。美咲~」

「人が話しかけてるのにことごとく無視するなんて」

「ごめんごめん。考え事してて」

「うー。こっちだって悩んでるのよ~。助けてくれないの?」

「うん。人を助けられるほど手があまってない」

 あまっているのなら、自分のために使うさ。

「はぁ。ならいいよ」

「ごめんね」

 うん。と力なく美咲がうなずく。ちょうどチャイムも鳴ったし当面は小学生生活しましょうか。





「起立。礼」

『さよーならー』

「はい、気をつけて帰るんだぞ」

『はーい』

 事件が起こるのはいつも放課後。と、いう事で。

「今日は四人で下校か」

 美咲が楽しそうに言った。

 こっちはあんまり楽しくないんだけどな・・・ハハ。

「愛美と拓馬、こっちにきてよかったの?」

「いいのいいの。気にせんといて」

 てをヒラヒラと振る。

「でも、真逆でしょ?」

「それを言うならロイだってうちの家の近くよ?」

「え?そうなの?」

「え、えぇ」(何言ってくれてんだコノヤロウ)

(野朗じゃないしー。ざまぁみろ!)

 目だけの会話。絶対に美咲に気取られないようにっと。

「あ!美咲ねぇ!」

「由香里!?」

 おっと、由香里。美咲に抱きついて・・・。

 ?なにしてる?




美咲視点


「あ!美咲ねぇ!」

「由香里!?」

 由香里が涙目で私に向かって走りこんでくる。

 そして、抱きついて、何があったのか聞こうとしたら。

(!)

 私にだけ見えるところで銀色の刃物が光る。

(あなたは、ここに居てはいけない。さっさと死んでくれる?)

 由香里の声。けれど、由香里の言葉ではなかった。

「何してんだよ!」

 銀色の刃物、ナイフが飛ばされる。

 由香里が飛び退る。

「前々から怪しいとは思ってたけどさ・・・。こうも目の前でやられると困るんだけど?」

 拓馬がえらそうに言い出す。

「最悪っ!なんで私の目の前で・・・」

 愛美が愚痴る。けどそっと私の前に立つ。

「・・・・」

 ロイ君は無言で由香里を睨みつける。

「ちっ、けどもう後には引けないの」

「このあたしに勝てると思うな!けど場所が悪いな」

 ひらりひらりと由香里が襲い掛かってくるのをかわす愛美。

「あしでまとい。あんた美咲つれてダッシュ!」

「・・・・。了解」

「ちょ!どこに連れてく気だ!」

「安全な所に決ってるでしょ!あんたにまかせてられないの!」

「俺からしてそれなんかメリットあるのかよ!てか居ておいた方が俺のメリット多いんだが!?」

「んなもんあたし達が知るわけ無いでしょ!考えなさいよ、このウスのろ馬鹿!」

「だれがうすのろ馬鹿か!」

「おまえじゃおまえ!」

「そういうおまえは姫がいちゃあなにもできないカスか?」

「あんたの方がカスよ!」

 私が聞いたのはここまでです。







「って、言ってても始まらないわね」

 ロイと言い合いしつつも愛美は由香里の相手をしていた。

「きなさい。といいたところだけど、あなたの出所を言いなさいそれからよ」

「・・・異世界警察世界治安部裏部隊第二課」

「ふぅん。裏部隊ね。実力の程見せてもらうわ」

「安全部の部長と手合わせできるとは光栄です」

 愛美は何処からか魔剣を取り出し相手の武器とあわせる。キィンと高い音がして二人が飛び退る。

 アキラカに愛美の不利だ。

「おまえ正気かよ?そんな奴相手に一人で挑むとか」

「なら、アンタが相手しなさいよ」

 ロイも割り込んで相手と手合わせする。ロイは軽く流しているようで不利かどうかが分りにくい。

「苦戦してるみたいじゃない」

「うっせぇ」

「気が進まないけど・・・」

「「共同戦線」」(だな)(ね)

 二人で相手に襲い掛かる。

 ロイはこの世界に影響が無い程度に遠距離魔法で愛美の援護や自分の得意な武器(短剣)で応戦。

 愛美は自分の背丈より少し短い魔剣で自分から突っ込んでいった。

「くっ。あなた方は敵ではないのですか!?」

「「敵だ(よ)」」

 同時に光の速さで言い放つと、愛美がいった。

「いやいやに決ってんでしょ!見りゃ分るでしょ!裏部隊って言うのは想像以上に馬鹿みたいね!」

「な!こんなにいいコンビネーション見せ付けられたら疑わない人は居ませんよ!」

 愛美が剣を振り下ろす間一髪のところで相手がしゃがんで避ける。

 そのまま相手が自分の剣を横に薙ぐ。愛美の脚を狙ったのだ。

 愛美は素早くジャンプしてかわし、そのわずかな隙間から雷のヘビが飛び出し相手を襲う。

「言いたくないけどナイス!ロイ」

「お前に言われたくない」

「くっ」

 相手は軽くジャンプして雷のヘビを避ける。が、

「遅い!」

上から愛美の魔剣が振り下ろされる。相手はいまジャンプした瞬間で空中にうき、体制が変えられない状態と踏んだのだ。

「しまった!」

 相手は無理矢理体制をかえ、愛美の魔剣を防ぐ。

 ロイがポツリと何かを呟いた。

「!!!!」

 相手は悲鳴を上げるまもなく黒い霧に包み込まれ、跡形もなく消え去った。

「ちょっとー!なんて魔法使ってくれちゃってんのー!?この世界どうなると!?」

「お前らのところで何とかするだろう」

「しれっと、ルカのしごとを増やすなぁ!!」

 事件が起きるのは放課後に。

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