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射られた矢と思い込み

「次、算数か~」

 まぁ好きな社会の授業が終わり次の授業の用意をする。

「算数って何であんなに難しいんだろう」

 右隣で愛美がぼやいた。

「佐藤さんが言うことでもないと思うんだけど」

 左隣でロイ君が言った。確かに愛美はうちのクラスで一番成績がいい。というか、私も何度か教えてもらったことがある。

「難しいものは難しいし、テストは大体勘だしね」

 頭の後ろで手を組んで、いすを斜めにして言う。机の上にはちゃっかり算数の用意が。

 一応やる気はあるんだね。

「「!ふせて!」」

 へ?ロイ君と愛美二人同時に叫んだ。

「きゃあ!!」

 いすごと後ろに倒される。

 すると、私の目の前を矢が飛んでいった。

 なんでー!?

 愛美とロイ君は一瞬にらみ合うと、私を起こし矢を回収しに行った。

「完全に美咲を狙ってたわね」

 クラスがザワザワと騒ぎ出す。

「席に着けよーってん?誰だまどガラス割ったのー」

 先生。事情を知っている人からしたら全然空気読んでない発言ですよ。




愛美視点


「算数ってなんであんなに難しいんだろう」

 私はぼやいた。なんで算数なんてしないといけないんだろうか。掛け算足し算とかは市内といけないかも知れないけど、図形の勉強なんて生きていくために必要なの?

「佐藤さんがいう事でもないと思うんだけど」

 佐藤さん?コイツにそういわれるとすごく気色悪いんだけど。鳥肌が立つわ。

「難しいものは難しいの。テストは大体勘だしね」

 はぁ、本当に・・・。ん?

「「!ふせて!」」

 皮肉にもロイと同時。最悪。

「きゃあ!!」

 美咲の目の前を矢が飛んでいく。

 あいつ、自分のためなら美咲を殺そうとまでするの!?ありえない!

 ロイを睨みつけてから矢を回収しに行く。

 矢文というわけではないみたい。

「完全に美咲を狙ってたわね」

 自分を味方としての立ち位置を上げるためだからって!

 もう一度睨みつけようとしたら、向こう側の校舎で人影が動いた。あいつか・・・。昼真っから暑苦しい黒いローブなんか着ちゃってさ。怪しすぎるわ!

 クラスメイトは騒ぎ出す。

「席に着けよーってん?誰だ窓ガラス割ったのー」

 先生。事の重大さを知ってください。




ロイ視点


「算数ってなんであんなに難しいんだろう」

 姫をはさんで向かい側。魔女の佐藤さんがぼやいた。確か本名はエルだったか。

「佐藤さんが言うことでもないと思うんだけど」

 姫に怪しまれないように優しく言う。

「難しいものは難しいの。テストは大体勘だしね」

 はぁ。さいですか。ん?殺気!?

「「!ふせて!」」

 うわっ。エルと同時。むかつくわ。

「きゃあ!!」

 姫の目の前を矢が通過する。

 コイツ・・・ここまでやるか。

 姫に手をかし、助け起こす。ついでにエルも睨みつける。

「完全に美咲を狙ってたわね」

 コイツ、何も知らない振りしやがって・・・。

 こういう奴が一番嫌いだ。

 周りの奴らが騒ぎ出す。

「席に着けよーってん?誰だ窓ガラス割ったのー」

 先生。上から目線で申し訳ありませんが事の重大さを知れ。




美咲視点


 なぜ、この二人は先ほどから喧嘩ムードなのでしょうか?

 両隣のロイ君と愛美があからさまお互いを嫌っている。私を挟んで今にも喧嘩を始めそうな・・・。喧嘩するなら私を巻き込まないでよ。

 凄く居心地が悪いんだけど・・・。

(ねぇ、愛美。なんでロイ君嫌ってるの?)

 小声で聞いてみた。

(元々いけ好かないのよあいつ・・・。こんな卑怯な手を使いやがって・・)

 私の声は軽くスルーされた。

(ねぇ、ロイ君・・)

(ホントに・・・。姫を危ない目に合わせるなんざ・・・。もともと怪しかったんだ。幼馴染なんて・・・・)

 はい、こちらもガンスルー。最悪です。

 もう一度言いますが居心地が凄く悪いです。

「おい!村上!」

「は、はいぃ!!」

「どうした、ボーっとして。これ、答えろ」

「はい。えっと・・・」

 居心地が悪いまま休み時間へ。

「美咲。何読んでるの?それ」

「言霊使いと魔法使いだって。なんか面白そうだったからもってきた」

 実際はそんなに面白いものでもなかったんだけど。

 内容はこんな感じ。

『言霊使い。魔法使いとは別で、誰でも素質はある。主に式神を呼び寄せる』

『魔法使い。言霊使いとは別で、生まれながらに魔力を持ったものにしかなれず、魔力を持つものはまた別の世界で生まれる』

 という、訳の分らん内容。

「へぇー」

 そのまま私は読書に励む。すぐに読み終わったんだけどね。

 次の授業も居心地が悪いまま昼休みへ。マジでなんでそんなに嫌ってるの?

「美咲。一緒に食べよ」

 愛美が話しかける。

「村上さんも良かったら一緒に食べない?」

 ロイ君にも話しかけられる。後ろには大勢の女子。いろんな人に誘われた後なんだなぁ。

「愛美。いい?」

「・・・。別にいいけど・・・・」

 完全に不服そうだ。

「ロイ。一緒に食べないか?」

 拓馬がロイ君を呼ぶ。

「そうだ!皆で食べようよ!ね?」

 私以外皆が不服そうにうなずいた。嫌なら嫌って言えばいいのに・・・。

 という事でクラス全員(拓馬とロイ君以外の男子は居ないけど)で屋上に今居ます。

「あ、ロイ君そのおかずいいな~。私のと交換してくれない?」

「私も~」

「拓馬君。私とおかず交換しない?」

 それでも拓馬とロイ君は女子に囲まれたままだった。

 だから、私とまふゆちゃんと愛美で食べて居るようなものだ。

「はぁ~。あんな奴の何処がいいのか」

「確かに。ロイ君は何処となく気障だし、拓馬は本当に何処がいいのか・・・」

「えー?二人ともカッコイイと思うけど?というか、愛美ちゃんついこの間まであの輪に入ってたよね?」

「幻覚よ」

「見間違いって言おうよ」

 三人でおかずを交換しながら食べていく。一番早く食べ終わったのはやっぱり愛美で、一番遅かったのは、言うまでも無いかな?私たち以外の女子達だ。

 ロイ君は思いのほか早く食べ終わり、女子群から逃げ切った。(拓馬も)

 で、ロイ君が逃げた時になぜ私がにらまれなければいけなかったのか。

 そして、帰りの会。やはり居心地が悪い。

「はぁ、何か皆で食べてるって言う実感無かったよねー」

「あるわけ無いじゃん」

「無いないー」

 二人同時ですか・・・。ちなみにまふゆちゃんの席は私のまん前。こちらを向いて座っている。まふゆちゃんは小柄なのでランドセルで隠れるため、先生が話している今でも私とのんびり喋っているのだ。

 ちなみに愛美は先生のほうを向きながら喋っている。愛美も背は高い方ではないので、ランドセルにすこし隠れている。

「ねぇ村上さん」

 ロイ君が急に話しかけてきた。

「今日も一緒に帰ってくれないかな?良かったらでいいんだけど」

 あぁ、そっか魔力を抽出云々言ってたから私を守る側で、今日矢が飛んできたから・・・。

「別にいいけど?」

 別に気にすることも無いしね。ただ、クラスの女子(もちろん愛美とまふゆちゃんは別だ)が全員敵に回るのが嫌なのだが。

 そして、下校中。特に何も無かった。

 またもや矢が来るわけでもなく、何か黒ずくめが出てくるわけでもなかった。

「じゃ、また明日」

「えぇ、また明日」

 ロイ君と別れ、家の中へ。家の中も別段何かがあるわけでもなかった。




 夜。

「ったく、何なんだよあいつら!姫を殺そうってのか!?」

「落ち着けよロイ。姫が死んで困るのは向こうも同じのはずだ。俺達みたいなもんだろう」

「だが、俺達は姫が死なないことが確実だからこそやってるんだぜ?あんな賭けみたいなこと・・・」

「とりあえずすわれよ」

 ライはロイにいすを勧める。

「同じような手をもう一度使ってくるかも知れないな。一刻も早く姫を魔界に連れて行かないと・・・」

「まだ、俺胡散臭く思われてるんだぜ?絶対無理」

「もう少ししたら俺も行くから」

「わかった」




「もう!なんなのよあいつら!お嬢を殺すっていうの!?」

 また別の場所で同じような会話が繰り広げられていた。

「落ち着けよエル。お嬢が死んで困るのは向こうも同じだろう?」

「だけど、矢を射ってきたのはじじつでしょ?あいつ、じぶんがあの場に居なかったらどうするつもりだったのよ・・・」

「知らねぇけど・・・。居ない時に射るなんてアホな事はしないんじゃないか?どうにかして連絡を取り合えばいけるし」

「う・・・」

「すこしは考えろよ。お前の方が頭いいだろ?」

「えぇ。そういえばリオナは?またいないけど?」

「由香里が怪しいからな。お嬢を一人にするわけにはいかないだろう」

「そうね・・・。そうだ!おい!」

 暗闇に呼びかけると、消えたはずの黒ずくめたちが出てくる。

「由香里を誘拐してきなさい!あ、でも絶対にお嬢の目の前でさらっちゃダメだからね!由香里が完全に一人になった時を見はからないなさい!いいわね!?」

『はい!』

 黒ずくめたちがいっせいに返事をする。

「これで、そう遠くないうちに由香里を尋問できるんじゃない?あいつらとはまた別な気もするし」

「そうか?まぁ、俺達の邪魔するなら同じだがな」

「そうね。一刻も早くルカの仕事が終わるのを祈るしか無いわね」

「あぁ、あいつらが気づき始めたということは確実にお嬢の身が危ない。一刻も早く魔法界に連れて行かないと」


 次の日の放課後。黒ずくめがもう目も当てられないほどの失敗をやらかしてしまうのをまだ愛美エルたちは知らない。

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