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でんぱ  作者: 海溝 浅薄
タイトル
8/18

閉じこもり

 人の顔を見ることが苦痛で、外に出る回数を極力減らした。仕事も辞めて、必要なものはネットでまとめて購入し、便利な世の中に感謝しながら昼夜逆転の生活を送った。室内にある私の顔を映し出すものは全て捨て、壁を見ながら日々を過ごした。

 初めのうちは私のことを心配してやって来ていた友人も、反応を全く返さない私に愛想が尽きたのか、姿を見せることは無くなっていった。私にとって彼らの顔を見ることは害虫を見つけてしまった時と同じで、嫌悪以外の何ものでもなかったから都合がよかった。

 ある日から、私は部屋の広さに耐えきれなくなり、押し入れに詰めた箱の隙間にその身を潜りこませていた。なかなかどうして、狭く息苦しいこの空間は、私にとって安息の場所だった。今の今まで布団を敷いて眠っていたのが馬鹿馬鹿しく思えるほどに、箱と壁の空間は、私に安らぎを提供してくれた。死ぬまで、ここで過ごそうと思った。


 数週間後、私の場所には湿気が充満していた。酷い臭いが鼻を突き、箱は潰れて壁は黒ずみ始めていた。もうここは私の場所では無い、と思い、抜け出そうと身体を動かそうと試みるが身体は言うことを聞かず、助けを呼ぼうと口を開くも喉から声は出なかった。私は衰弱していく私をどうすることもできず、ただただ不快な押し入れの中で、虫にその身を摘まみ食いされながら、早く私は死なないか、と、今もその日を待っている。


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