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許し
街を行く人皆が私を指差し、嘲り、去る。飛び降り自殺に失敗し、呻いてもがく私の姿がそれほどまでに滑稽なのか。自分自身を惨めに思い、舌を噛み千切ろうと実行するも上手くはいかず、またも笑われ、傷付き、折れた手足を動かそうとして失敗し、そしてまた、笑われる。
なぜ私は死ねなかったのか。なぜ最後まで中途半端な人生なのか。なぜ私を死なせてくれなかったのか。そう自問して、答えを出すことができないまま時間が過ぎる。
そのうち私は誰からも相手にされなくなり、辺りに転がったいくつもの死体と同じく邪魔なものとして認識され、踏まれ、蹴飛ばされ、道の脇に放置されてしまうのだろう。想像には難くない、私自身もそうしてきたことだ。立場が変わっただけ、何も驚くことはない。
行き交う人々を真似し、笑う。そうすることで助けられるとは思っていないし、現状、助かるとも思わない。目を見開き口角を釣り上げ、無理やりにでも笑顔を作ってさえいれば、私は彼らと同じ側。そう思い込むことくらい、許してはくれないか。