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恋人たち
とある場所をふらついていると、恋人たちが喧嘩しているところに出くわした。聞き耳を立ててみると、男は女に対して君が悪い、自分は悪くないと言って聞かず、また、女の方も自分は悪くない、あなたが悪いと、互いに譲る様子は無いようだった。
私が見ていることにも気づかず彼らはしばらく言い争いを繰り広げ、危うく掴み合いに発展しかけていたが、そこは恋人同士、互いに非を認め合ったのだろう、最後は笑顔で小突きあいなどしながら、風に吹かれた煙のように、私の前から姿を消した。
彼らのいた辺りには季節の変化を感じさせる花束がいくつも置かれていて、やがてその花びらが私の方へと飛んでくることを期待しながら、私は今日も、一人寂しく宙を漂う。