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でんぱ  作者: 海溝 浅薄
タイトル
17/18

対話

 つい先日、友人と談笑していた時のことである。

 私は基本的に友人に限らず、人の目を見て話すことができないのだが、その日に限ってはそうではなく、むしろ友人の目を見て話をしなくてはならないという気にさえなっていた。

 しばらく会話を続けていると友人も「今日はどうしたんだい」などと私の行動を気にかけてきたが、私自身、友人を見つめるという行動をどうして取っているのか分からず、苦笑を返答とする他になかった。友人もそれ以上は疑問を投げかけてはこず、私達二人はいつもの通りに取り留めのない会話を続け、そうしてそのうち、友人に異変が起きた。

 普段の表情が微笑みで固定されている友人から笑顔が消え、私、いや、正確には私の瞳の奥を瞬きもせず覗き込み始めたのだ。私がどうしたのかと遠まわしに尋ねても友人は「気にしなくて良い」とだけ答え、そのような状態が数分続き、やがて友人は元のように笑みを浮かべた。

 私が再びどうしたのか、と問うと友人は「それはこちらの話だよ。君、今までわたしと何について話していたか覚えている?」と聞き返してきた。

 私はそれに答えられなかった。つい今まで盛り上がっていたというのに、一切思い出せなかったのだ。友人は恐らく感づいたのだろう、質問を続けた。「確か君、英語は苦手だったよね」と。私がゆっくり頷くと友人は「うん。やはりあれは君じゃなかった。君はあんなに流暢に話せないもの」と私の肩を叩き、また明日、と去ってしまった。


 今も私は当日何があったのか分からず時折友人に尋ねるが、友人は毎度、はぐらかし続けている。

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