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神様
私の隣には神様がいるのです。そのことを両親や友人に伝えても、誰も信じようとはしないのです。確かに隣に座って笑っているのに、何度言ってもお前は馬鹿だ、気が触れたのだと罵られるのです。だから私は望んだのです。皆の前に姿を見せてと。
けれど神様は皆の前に姿を現してはくれないのです。ただただ私の方を見て、微笑み頷くだけなのです。そのうち私は嘘吐きと呼ばれるようになり、誰にも相手にされなくなりました。
そのことで、私は神様を恨みました。あなたが姿を見せてくれさえすれば、私は邪険に扱われることもなかったのに。大切な友人を失くすこともなかったのに。私は鬱積した感情を、途切れることなく神様にぶつけました。
その結果、家が燃えたのです。全て神様が悪いのです。いくら言っても聞く耳を持たない神様が悪いのです。私は悪くないのです。友人を殺したのも神様に唆されたからなのです。私は悪くないのです。全てにおいて神様が悪いのです。だから私をここから出して欲しいのです。私は何も悪くないのです。神様も、そう言っているのです。