表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

【第2章 あはれてふ 心の奥ぞ けふ知られぬ】全年齢版⑤

【第2章 第5話】


 青い五芒星が足元に浮かび上がる。溢れ出した水は荒れ狂うことなく、柊の身体を包み込むように幾重にも重なっていった。青と黒、金色を基調とした全身スーツとなり、胸部、肩、前腕には清らかな水を湛えたような装甲を纏う。そして、玄武を彷彿とさせる仮面となった。


「祓え、勾玉!」


 青い戦士が両手を前へ突き出す。水流の中から、二つの青い勾玉が姿を現した。


 勾玉が強く光を放つと同時に、五芒星の形をした防壁が展開される。防壁は宙へと浮かび、周囲を囲みながら物怪の攻撃を受け流す。さらに溢れた水流が、物怪の手足に絡みつき、締め上げるように拘束した。


「レッド、見惚れてる場合じゃないぞ」


 外側から見た式神外装が、あまりに美しくて、柊の肌を流れる水から目が離せなかった。


「あ、あぁ! 業火一閃!!」


 赤の刃が一閃する。斬り裂かれた赤子の物怪は、悲鳴を上げる暇もなく、砂となって崩れ落ちた。


「また……アタシの子供が……! 許さない、許さないぃぃ!!」


 これまでとは比べものにならない衝撃波が放たれる。周囲の空気そのものを揺らしながら迫ってきた。


 柊は咄嗟に前へ飛び出し、防壁を正面に展開する。


「待て! 音までは防ぎきれんぞ!!」


「ぐっ、ああああああ……!!」


 直撃。受け止めきれない衝撃が、全身の装甲越しに内側へ突き抜け、柊は膝をついた。


 姑獲鳥の哄笑が、遠く歪んで聞こえる。


 ――意識が、内側へと沈んでいった。


 ⸻⸻


 頭の中に、言葉と光景が溢れ出す。


「よし! 決めた! 名前は《柊》だ!」


「これからは家族三人で、幸せな家庭を作ろうな!」


 ……温かい声。


「ねぇ……あなた。私のこと、わからないの……?」


「どうして……答えてくれないの……?」


「……いや……あなた、体が……砂に……」


 ……崩れていく日常。


「どうして……どうして私だけが……」


「旦那さんの件は……お気の毒でした……」


 ……取り残される痛み。


「柊……ごめんね。守れなくて……」


「でも……あなたは、誰かを守れる存在になって……」


 違う。これは夢じゃない。


 忘れていたと思っていた。けれど確かに、心の奥に残っていた……記憶。


 ⸻⸻


 ゆっくりと顔を上げ、姑獲鳥を見据える。


「……そうだ」


 拳を強く握りしめる。


「おれは、蓮を……守る」


 その言葉に呼応するように、青い光が再び、静かに、しかし力強く脈打った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ