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カッコよさの代償

「朝ごはんできたわよ」

と母さんの声が聞こえる。


俺はスマホを確認する。

7月20日で、新聞社も、ポータルサイトの日付も、そしてテレビ番組も7月20日だった。

俺は宿題を見る。

宿題はしていない。

俺は財布を見る。

財布の中身も7月20日時点の金額、5800円だった。

同じだ。


俺は父さんに宿題と爺ちゃんの家のことを確認して、宿題を始める。

そして爺ちゃん家に……

今回も58,000円だった。

俺は急ぎ家に戻る。

次は純ちゃん家に行き、蚊を撃退。

そして茜ちゃん家に行き、告白し、地震発生し引越し回避。

これでフラグは折れた。


しかし純ちゃんの回までは、地震なんか発生しなかった。

茜ちゃんへの告白と明らかに連動しているように思えて、

とても気分が悪くなった。


でも……

自分ではコントロールできないことに悩んでも仕方がない。

次はモデル君をどうするかだ。


モデル君は川に行って、溺れるわけだから、川に行かせなければ良い。

でも八月の末になぜ川に行ったのだろう。

謎だ。


俺はモデル君とコンタクトを取ろうとしたが、連絡が取れない。

スマホの番号が変わってるのかな。

俺はSNSでモデル君を検索してみた。

すぐに彼は見つかった。

相変わらずカッコいいな。

俺は思った。

とりあえず、自分のSNSアカウントでフォローしていいねを送ったら、すぐに連絡が来た。


モデル君「はじめ君だよね」

俺「そうだよ。ひさしぶり」

モデル君「元気してた」

俺「うん。そっちは?」

モデル君「まぁ元気かな。俳優の仕事が決まりそうで、ちょい緊張気味」

俺「へぇ。そうなんだ。カッコいいもんな」

モデル君「まぁな。自覚はあるけど」

俺「そうだろな。へぇそうかな……とか言う奴より、そういう自覚あるって正直に言う奴のほうが好きだわ」

モデル君「はじめ君らしいね。昔から謙遜する人とか、さらに褒めさせようとする人嫌いだもんね」

俺「俺はね。母さんとかは、それが日本人の美徳だとか言うんだけど、よくわかんないのよ」

モデル君「海外とかでは、そういうの通じないらしいよ。だからはじめ君はグローバルスタンダードなんだよ」

俺「なにそれ。美味しいの?」

モデル君「世界的に見たら普通ってこと」

俺「そうなの?俺、世界に通じるはじめってこと。はじめってスタートだよね。海外じゃ。俺はスタートだって言えばいいのかな?」

モデル君「きっとそうだよ。ははは。ほんと初め君は面白いね。会いたいよ」

俺「いまどこにいるの?」

モデル君「地元に戻ってきてる」

俺「じゃあ、遊びに行くよ」

モデル君「わかった。舞ってる」

俺「えっ。ダンスは……」

モデル君「誤字だよwww 舞ってる⇒待ってる」

俺「OK。じゃあ行くわ」


俺は即用意してモデル君の家に向かう。


(ぴんぽーん)


「宅配なら配達ボックスに入れておいてください」

モデル君は言った。


「お届け物は『はじめ』という生ものなのですが……」

と俺は言った。


「じゃあ、開けます」

モデル君は言った。


「よう。おひさ」

と俺は言った。


「ごめんごめん。町内会の勧誘かと思った」

モデル君は言った。


「あぁ、あるあるだよね。うちも基本出ないようにしてるみたい」

と俺は言った。


「ずいぶん背が伸びたね」

モデル君は言った。


「いやいや。それはお前のほうだろ。今何センチ」

と俺は言った。


「上から88、68、88……」

モデル君は言った。


「いやいやグラビアか……」

と俺は言った。


「やっぱ、はじめ君だ。こういうの東京とかじゃ突っ込んでくれないんだよね」

モデル君は言った。


「えっそうなの。絶対突っ込む奴じゃん」

と俺は言った。


「だろ。特にモデル業界は、余計なことしゃべるな的な圧が強くって……」

モデル君は言った。


「えっそうなんだ。大変だな」

と俺は言った。


「そうなんだよ」

モデル君は言った。


「ところで、仕事って予定とか埋まってたりするものなの」

と俺は言った。

さりげなく月末の予定を聞くためだ。


「そうだね。一応お盆辺りに仕事が決まりそうなんだけど、それが決まったら、レギュラーでしばらく仕事続き。それがダメならキャンプの動画配信しようかなと」

モデル君は言った。


俺はピンときた。このキャンプの動画配信じゃないか。


「仕事っていうのは、それはアウトドア系?」

と俺は言った。


「違う違う。完全にインドア系」

モデル君は言った。


「じゃあ、仕事が決まる決まらないでインドアかアウトドアが決まるのか?」

と俺は言った。


「そうなるね」

モデル君は言った。


そうか……。

わかった。これはモデル君が仕事を取れるか取れないかのゲームなんだ。

取れなかったら……

アウト。

そういうことか。


「ところでお前はなんで、そんなに格好良いの?

元がいいから?」

と俺は言った。


「半分正解で半分間違い。

俺は格好良く見えることをずっと考えてる。

つまりそこに全振りしている。その分格好良い。

それだけ。

ただ君のように勉強はできないし、面白いことも知らない。

俺が格好良くなる方法教えるから、勉強と面白いこと教えてくれないか?

それだったら上手くいくんじゃないかな……だめかな」

モデル君は言った。


「それすげーいいじゃん。お互いに先生になるってことね」

と俺は言った。


「そういうこと」

モデル君は言った。


「もしかして、それってインドアの仕事つかむのにも重要だったりする?」

と俺は言った。


「すげぇ。さえてんじゃん」

モデル君は言った。


「誰だと思ってんだよ。お前のダチだぜ」

と俺は言った。


モデル君は何も言わずに笑った。

その目にはうれし涙のような雰囲気があった。


それから、モデル君と何回か遊んだ。

モデル君はインドアの仕事を手に入れた。

彼は一言、

「君のお陰だよ」

と言ってくれた。


そして気が付くと、8月31日になっていた。

これでループは解けるはず。

そう思った。


(ぷるぷるぷる……)

家の電話が鳴る。


「はい。はい。はい。えっ本当ですか?で……はい。はい。はい。失礼します」

と母さんは誰かと話している。


えっ、まさかまた……


「もしかして……」

と俺は言った。


「……お前の友達の覚君が亡くなったって」

と母さんは言った。


「なんで」

と俺は言った。


「3日前に学校に行きたくないって言い出して、家出したらしく、さっき山中で遺体で見つかったって」

と母さんは言った。


モデル君の次は、覚君か……。

しかも学校行きたくないって、何があったんだ。


俺は自分の全てが怖くなっていた。

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