両大陸の主要都市郡と権力構造
両大陸の主要都市郡と権力構造
◆ 西のアルトラシア大陸 ― マギア派
合理主義と機械信仰を掲げる「マギア派」の中心地。
産業・軍事の発展は圧倒的であり、巨大な帝国と複数の属国によって支配構造が形作られている。だがその一方で、急速な都市化と格差の拡大によって不満が噴出しつつある。
1. アルトラシア帝国(大陸最大国家)
・首都:機械都市【クロム・ファルケン】
・政治体制:皇帝を頂点とする中央集権国家。技術貴族「機導院」が政策を実質的に主導。
・特徴:蒸気機関・魔導兵器・義肢技術などを独占。帝都は高度な医療・機械文明が発展しているが、辺境や下層民には恩恵が届かない。
・内部問題:都市難民、失業者、スラム街の増加。工場労働者の過労死や「実験用の人間素材」としての下層民の扱いが噂される。
2. 鉱山連邦国家群
・位置:大陸南部の山岳地帯。
・特徴:鉄鉱石・魔力鉱石の供給源。形式上は帝国の属国だが、経済的な重要性から一定の自治を維持している。
・問題:鉱山労働者の過酷な環境。爆発事故・魔力汚染病の多発。医療体制が整っておらず、「闇医者」の需要が極めて高い地域。
3. 機導都市同盟
・位置:北方沿岸部。海上交易を担う。
・特徴:商人ギルドと機械職人によって運営される都市国家群。表向きは帝国に従属しているが、実際には独立志向が強い。
・役割:海軍と商船を持ち、アルトラシア大陸とヴァルディア大陸をつなぐ“海の玄関口”。密輸や奴隷貿易も盛ん。
◆ 東のヴァルディア大陸 ― イデア派
自然信仰を掲げる「イデア派」の拠点。
「人は自然の一部」という思想のもと、部族共同体や地方自治が基本だが、大陸全体をまとめるゆるやかな王国連合が存在する。
自然と調和する文化を保つ一方で、人口増加や外敵の圧力によってひずみが生まれつつある。
1. ヴァルディア王国連合
・首都:聖森都市【エルドラン】
・政治体制:大森林を守護する「巫女王」を象徴とし、各部族長や地方王が評議会を通じて政策を決定。
・特徴:精霊契約や自然魔術を武力の基盤とする。森と川の加護を受けた魔術師が軍の中枢を担う。
・問題:人口増加による土地不足。過去の戦争で焼かれた森が回復しておらず、飢饉が起こりやすい。
2. 遊牧国家群
・位置:大陸南東の草原地帯。
・特徴:騎馬民族や遊牧民が支配する国家群。イデア派の信仰を持ちながらも、王国連合とは距離を置くことが多い。
・役割:薬草・魔獣・牧畜品の供給源。傭兵を多く輩出し、戦争や辺境の小競り合いでは常に存在感を発揮。
3. 森羅自治領
・位置:北方の原始林地帯。
・特徴:人と精霊の共生が最も色濃く残る地域。半ば“人外の支配領域”とされる。
・問題:自然保護を名目に、中央政府の干渉を拒絶。時には帝国よりも敵対的な行動を取るため、緊張の火種となる。
◆ 中立・辺境地域
両大陸の間には海峡や諸島が点在しており、交易と密輸の拠点になっている。
1. グレイ・アーク諸島
・特徴:大陸間交易の要衝であり、密輸、奴隷市場、闇医者ギルドまで存在する「法なき地」。
・役割:両大陸の戦争の際には前線拠点となり、停戦後は亡命者や傭兵の温床となった。
2. 難民都市群
・位置:両大陸の国境沿いや、荒廃した旧戦場地帯。
・特徴:難民、流民、孤児が集まり、掟のない都市を形成。
・問題:医療、食料、水資源の不足。疫病が流行しやすく、アレンのような医者が最も必要とされる地域。
◆ 権力の構造
両大陸を俯瞰すると、以下のような権力構造が浮かび上がる。
・アルトラシア帝国 → 技術と軍事で大陸を支配。格差と強権政治が問題。
・ヴァルディア王国連合 → 自然と精霊の加護を重視するが、人口増加と食糧不足に苦しむ。
・辺境・中立地帯 → 難民や傭兵、奴隷商人が跋扈する混沌の領域。
この三層構造の中で、アレンとリアナは「どこにも属さない存在」として放浪している。
彼らの闇医者稼業は、帝国の格差、王国の飢饉、辺境の無秩序――そのすべてを背景に成立しているのである。
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◆ アルトラシア大陸(マギア派・機械信仰)
合理主義と機械文明を信奉する大陸。帝国主導の中央集権構造を基盤にしつつ、周辺には交易都市・属国・宗教都市が混在。都市ごとの差別や格差が特に顕著。
1. クロム・ファルケン(帝都)
アルトラシア帝国の首都。蒸気塔と機械兵が並ぶ巨大都市。富裕層は義肢・人工臓器の恩恵を受けるが、スラムでは「部品のために攫われる」噂が絶えない。
2. ガルドープ(交易都市)
大陸最大の交易都市。海と陸を結ぶ物流の中心。表では帝国の支配下だが、裏市場や奴隷商人が暗躍。闇医者も多く潜伏。
3. 神聖ルミエール教国
「光=機械文明の象徴」を掲げる宗教国家。医療修道院を擁し、聖職者が施術を行うが、信徒以外は排斥される。医療の質は高いが排他的。
4. グラドス辺境都市群
戦争で荒廃した地帯に点在する都市群。帝国の監視は緩く、難民や傭兵、犯罪者が流入。医療機関は皆無に近く、闇医者が生存の要。アレンの活動拠点がある場所。
5. シュタール工廠都市
兵器製造を担う工業都市。工場労働者は過酷な労働環境に置かれ、事故や病気が絶えない。労働者階級向けの「安価な義肢市場」が形成されている。
6. ツェリク港湾都市
帝国の海軍拠点。軍人・傭兵・密輸業者が集まり、薬品や治療器具が黒市で取引される。港湾スラムには伝染病が多発。
7. アインハルト要塞都市
大陸境界に建設された軍事拠点。兵士の死亡率が高く、医療は軍医任せ。前線での「人体実験」疑惑がある。
8. ヴァルク鉱山都市
鉱山労働者が集まる都市。魔力鉱石の採掘による魔力汚染で「魔塵病」と呼ばれる奇病が蔓延。表の医者は寄りつかず、闇医者の需要が絶大。
9. ノルトベルグ寒冷都市
極北の工業都市。厳しい気候と資源不足で貧困が深刻。労働者の寿命は短く、平均寿命は30代とされる。
10. ディアス研究都市
帝国直属の学術都市。機械工学と医療魔術の融合研究が進むが、倫理は軽視される。人体実験やクローン研究の噂あり。
11. エルステラ高原都市
高原に築かれた交通の要衝。貧富の差が激しく、下層民は「呼吸病(高地性肺疾患)」で命を落とすことが多い。
12. マルティナ難民都市
戦災孤児と流民が作った都市。帝国の支配が及ばず、医療もほぼ無い。アレンのような存在が最も求められる地域。
13. ブランデル傭兵都市
戦争帰りの兵士や傭兵が集う街。負傷者が多く、義肢市場が栄える。薬物中毒患者も多い。
14. フリュクス学匠都市
機械工匠と医療技術者のギルドが支配する都市。富裕層向けの最先端治療が受けられるが、平民は切り捨てられる。
15. カリオス監獄都市
帝国最大の監獄を抱える都市。囚人の命は軽視され、医療はほぼ皆無。闇医者が「死刑囚の臓器移植」を担う噂がある。
◆ ヴァルディア大陸(イデア派・自然信仰)
自然と精霊を重んじる大陸。豊穣な大地と森を抱えるが、戦争で荒廃した地域も多い。伝統的治癒術は残るが、近代的医療には遅れをとる。
1. エルドラン(聖森都市)
ヴァルディア王国連合の首都。巫女王の居城がある。自然治癒術と精霊魔術が融合した治療院があるが、庶民には高額。
2. 大地母神連邦都市群
農耕を基盤にした都市群。自然崇拝と共同体医療が特徴。だが飢饉や資源不足で薬草が高騰し、貧困層は医療を受けられない。
3. エリュシオン自由都市連盟
商業都市群の総称。富裕層は医療を買えるが、貧民は薬すら手に入らない。裏社会に「闇薬師」と呼ばれる存在が暗躍。
4. ザラス遊牧帝国
草原の遊牧民国家。伝統的な治癒術と薬草学が受け継がれるが、戦争で分裂し、医療資源も枯渇。
5. リュシエラ湖上都市
湖上に浮かぶ都市。水精霊の加護で病が少ないとされるが、感染症が発生すると壊滅的被害になる。
6. フェルナ草原都市
牧畜を中心とした都市。獣医療は発展しているが、人間医療は遅れている。遊牧民との交流が多い。
7. グランデオ森林都市
大森林の中に築かれた都市。精霊信仰が強く、怪我や病は「精霊の怒り」とされる。医療的介入が嫌われる場合もある。
8. オルフェ荒野都市
戦争で焼かれた都市を再建した街。荒廃した土地で食糧不足が続き、飢餓病が蔓延。難民流入も多い。
9. ティルナ峡谷都市
峡谷に築かれた防衛都市。資源は少ないが薬草の一大産地。交易路にあり薬草市場が発展している。
10. ミュゼ辺境都市
王国の支配が及ばない辺境。盗賊や反乱軍が多く、医療もほぼ存在しない。闇医者は重宝される。
11. ハルディア山岳都市
山岳地帯の都市。寒冷地特有の病が蔓延。自然魔術師の治癒力は高いが供給が追いつかない。
12. サナリア聖堂都市
大聖堂を中心とした都市。巫女による祈祷治療が行われるが、効力には個人差が大きい。
13. アリュス砂漠都市
乾燥地帯に築かれた都市。水不足が深刻で、病気の多くが栄養失調や脱水症状。医療は最低限。
14. ノイエ孤児都市
戦争孤児が中心となって作った自治都市。医療の伝統がほとんど無く、闇医者が重宝される。
15. エヴァナ港湾都市
大陸の外海貿易拠点。異文化の薬学が流入し、独特な混成医療が発展。だが富裕層のみが享受できる。