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ある日の猫  作者: 星乃夢
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第七章 茶トラ白


 のんびり窓際で日向ぼっこをしながら、私は窓の外に向かって独り言を呟いた。

『私の名前はミイ。いろんな事があったけれど、これからは千紗の家で生きていきます。パパには内緒だよ……私があの時の白猫だって事は。いつか話せる時が来るのかな。そして、いつか……パパ(あの青年)に恩返しができるといいな。


 朝になるとパパとママは、お仕事。千紗は、学校に行く。私は玄関に座ってみんなのお見送りをする。そして、それぞれが帰ってくる足音が聞こえたら、ドアが開く前に座ってお出迎えをする。これが私の日課になった。

 千紗とパパとは仲良く出来るけど、ママとはまだ……なんというか見えない壁のようなものがある。でも、ママがお経をあげる時私が必ずママの後ろに座るから

「いい子だね」

って優しく声をかけてくれるようになったよ。お経のことはよく分からないけど、不思議な気持ちになるんだよね……なぜだろう。だんだんママが朝夕お経をあげる時間が分かってきて、お供する……それも私の日課の一つになった。ママと一緒にお経をあげてるみたいで、何となく……今の温かい家族と一緒にいられる事に感謝と私の家族を幸せに守って欲しいって願うようになった……猫なのに、変だよね。


 その日も、私は玄関マットの上にちょこんと座ってスタンバイ……

「ただいま〜」

 千紗が学校から帰ってきた。私は急いで駆け寄って千紗の足元をいつものようにスリスリする。長いしっぽをピーンと立てて、頭や身体を擦り付けながら……。いつもの事なのに、私は毎回すごく嬉しくって、ついゴロゴロと喉をならしてしまう。

『ミイ、今日は何してたの?ゴロゴロ言って……嬉しいの?私も嬉しいよ〜』

 千紗もいつものように私を撫でながらしっぽを軽く掴む。私はスリスリを続けながら、スルリと千紗の手からしっぽを外す。しばらくの間、お互いが落ち着くまで玄関先でこの状態だ。私が足元から離れ廊下に移動すると、ようやく千紗は靴を脱いで洗面所に向かう。歩き出そうとするその足下に……再びスリスリタイムだ。千紗は私の手足を踏まないように、摺り足で進む。千紗が手を洗ってうがいが終わる頃、やっとお出迎えの儀式が終了する。私は廊下に寝そべり、両手両足を長く伸ばしてお腹を見せる。千紗は優しく私のお腹を撫でてくれた……あぁ、幸せだなぁ。

 数時間後にはパパやママが帰ってくる……もちろんこのお出迎えの儀式を行う。ただ、パパとママが私の儀式を手短に終わらせようとするのは感心できないな……まぁ、これもいつもの事で気にしないけどね。

 私のお話……退屈かな?少しネタバレになっちゃうけど、私は一生独身だったの。お友達はできて、そのお友達とはある意味長く繋がりがあったよ。それはまた違うお話で……。


 

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