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8/29

パイオツまでの距離

「おいおい、めぐみちゃん気合い入れ過ぎじゃん」

「気にするなHP。アップを続けよう」

 たかだか男子バスケ、女子バスケ部の交流試合だというのにただ一人、ゼッケンではなくユニフォームを着ているめぐみ。

 本番さながらに、大きな声を出してアップに励んでいた。


 俺達はアップが終わり、試合前の最終確認をしていた。

「昨日言った通りだ。まあでも、気楽に行こうじゃん! 予想通りなんてきっとならないじゃん」

「だな! 西野先生。何か俺達に言う事はありますか?」

「そうだな……勝て!」

――ディス・イズ・シンプル……。


 反対側からめぐみちゃんがこっちに向かってきた。普段の生活では見せない雰囲気を纏っていた。俺達の顔を見渡す。

「悪いけど、負けないから絶対!!」

 それだけ言うと、戻っていった。

 予想していない発言をされて、俺達は面を食らっていた。


 ――パンッ。パンッ。

「ホラ! ホラ!」

 西野先生の手を叩く音で我に返った。

「自分達がやること、やるべき事に集中しろ。行って来い」

「「「「「はい」」」」」


「いつものあれ、やらないの?」

「ダンカンやりたいの?」

「うん」

「やりましょう」

「やるじゃん」

「やろう」


「「「「「OPI! OPI! おれたちーのOPI!」」」」」

「「「「「OPI! OPI! 夢と希望ののOPI!」」」」」

「整列しろ。お互いに礼」

「「「おねがいします」」」


 ――ティップオフ。試合が始まった。

 ダンカンがジャンプし、俺の方へとボールを弾いた。


「走れ!」

 先に走っているHPにパスを出した。パスを出されたHPは、3ポイントライン辺りでボールを受け取るとゴールの方へと体の向きを変え、シュートを打とうとした。

シュートフェイクをしたHPが、逆サイドから走り込んで来た斎藤プロにパスを出す。

受け取った斎藤プロは、シュートしようとボールを上げる。


――ピッ!!

斎藤プロは、ファウルを貰いながらもシュートを放ち、見事に決めた。バスケットカウント。シュートの2点にフリースローを貰った。


「ラッキー」

 フリースローを貰った斎藤プロは、確実に1本追加点を決めた。


 シミュレーション。意図的にファウルを貰いにいったり、ファウルにさせたりする技術。斎藤プロは絶妙に上手かった。ストリートバスケでもファウルは存在する。

しかし、ファウルの基準は曖昧で、誰が見てもファウルだろうと判断出来なければ、ファウルにならない。そんなストリートでもシミュレーションが通用していたのだから、正式な試合では、簡単にファウルを取れる。


斎藤プロは簡単にやってのけるが、普通は出来ない。ずっと動いている中で審判に笛を吹かせないといけないからだ。

ボールを持っているオフェンスの行動が、あからさまだと笛は吹かれない。ディフェンスが悪いんだと判断されないといけない。それを流れる試合の中で平然とこなす斎藤プロのシミュレーションは、才能だ。


「落ち着いて! まだ始まったばかりだよ!」

郡司が声を出して、周りを落ち着かせた。


「前! 前! ディフェンス!」

 オールコートディフェンスで前から当たる。4番郡司弓子にボールが渡り、俺がディフェンスをする。こいつが起点になっているのは間違いない。

郡司を自由にさせない。これが最も大事な事だった。だからと言って、簡単に抑えられる訳じゃない。

腕1本。この幅でプレッシャーをかけていく。

「ナイスディフェンス手塚部長!」


「ユミ。パス!」

 郡司は味方にパスを出して走り出すが、俺は郡司にパスを出させないように邪魔をする。


「私にそんなビッタリディフェンスしてていいの手塚」

「別に。郡司を止めないと、どうにもならないだろ?」

「止められるなら、止めてみなさいよ」


篠山先生が守る7番が、フリースローライン辺りでゴールを背にしてボールを持ち、振り向いてドリブルをしようとしていた。

その瞬間――。篠山先生がどうやっているのか分からないが、ボールを奪っていた。


篠山先生曰く、居合斬り動きを応用して奪っているのだそう。居合斬りの使い手ともなると、人間の反射神経では反応出来ない程の速度になると。

だから篠山先生にディフェンスされると、いつの間にか盗られているという事がある。今のもまさにそうだった。



「手塚部長!!」

「ナイスカット! 速攻!」

 すでにHPと斎藤プロが走っていた。


 俺は、ドリブルを突きながら動きを窺う。HPが斎藤プロにスクリーンかけ、斎藤プロがスクリーンを使ってディフェンスを剥がす。フリーになった斎藤プロにパスを出す。

「ディフェンス!」

 郡司がただ一人反応して戻っていた。


 斎藤プロが逆サイトにボールを飛ばす。反対の3ポイントラインにダンカンが走っていて、ノーマークでボールを受けると、ダンカンはシュートを放ち、ゴールに吸い込まれた。

「ナイシュダンカン!」

 俺とダンカンは、ハイタッチした。


 郡司がボールを持ってフェイクを入れる。その後にドリブルを突いて、抜いてこようとしたが、十分対応出来ていた。

 女子バスケ部のスピードが、今までの感覚よりも遅く感じた。ストリートで戦う大人の方が圧倒的に速く、そして強かった。賭けバスケのおかげか、以前よりも動きがよく見えた。


 俺達は、成長している!

 ――ピッ。男子ボール。


「ルート55」

 サイドラインの外でボールを受け取ったHPが、作戦名を声に出した。


 ルート55。アメリカにあるという高速道路になぞらえたフォーメーション。俺とダンカンが横並びでスクリーンをかける体勢を取る。斎藤プロが、助走をつけてその間を縫ってマークマンを外し、ボールを貰ってシュートを打つ。

 それとも、その後に俺がダンカンを使い、ダンカンが篠山先生を使ってマークマンを外してボールを貰う動きを取るフォーメーション。貰ったらすぐ打つ。


 斎藤プロが動き出した。ダブルスクリーンをしている俺とダンカンの間を縫ってボールを貰おうとした。

「チェンジ!」

 郡司の一言でマークマンの交換が起こり、ダンカンをマークしていた相手が篠山先生についた。


「時速200!」

 斎藤プロにパスが出せなかった時の掛け声だった。俺は、ダンカンのスクリーンを使ってマークマンを外す。HPからパスが出て、俺は受け取った。

 ダンカンが篠山先生のスクリーンを使ってゴールしたの方へと向かう。その瞬間を狙ってパスを出した。マークマンを交換した事でミスマッチ、身長差が出てしまった弱点を突く。ダンカンは、丁寧に身体を使ってゴール下に潜り込んでゴールを決めた。


「ナイシュ!」

 14-6で俺達がリードしていた。


 ピィーー。

「タイムアウト、白」


「悪くない動きだぞお前等。私から言う事は特にない。HPから話す事は?」

「今の所、俺からも特にないっすよ。しいて言うなら、手塚部長、ファウル気を付けて。それと後半に余力残さないといけないからスタミナ配分間違えないように」

「女子チームがタイムアウト取るなんて初めてじゃね?」

「初めてだと……思う」

「そもそもリードしてるのすら、初めてですからね」

「ハートの7だラッキー。手塚部長、もっと俺にボール回してよ」

「オッケ。行ける時に取れる時に点数は取っておこうか」


 ――ビィィ!

「よし! 行こう」

 タイムアウトが終了し、コートへ戻る。女子チームは、交代してめぐみちゃんを入れてくるものだと思っていたが、どうやらまだらしい。


 エンドラインからパスが出る。最初と比べて、女子チームの動きが変わった。郡司のドリブルを基本に攻めるやり方から、パスを繋いでいくやり方に変わった。

 パスで繋ぐ方法になると、攻める方は走る事が多くなる。つまり守る俺らも必然的に走る事が多くなってしまう。


 要は、守るのが面倒臭いという事だ。


 それにしても良く走る……。


 女子チームを舐めてる訳じゃない。むしろ超強いチームと戦っていると思っている。しかし、本当に全中を目指しているのであれば、全中に出ている女子バスケ部に、普通に勝つ事が出来る位でないと話しにならない。

 だから俺達は、何をしても本気で勝ちに行かないといけない。


「ダンカン! カット!」

 パスしたボールに、俺の指先が触れた。ダンカンはボールを奪うと走った俺にパスを出した。後ろからは郡司が迫っていた。

 俺はそのままレイアップシュートに行こうとし、郡司はそれを止めようと俺の横に入る。シュートに行こうと見せかけ、俺は、サイドに走り込んでいたHPにパスを出した。

「シュート!」

 声に反応したHPは、シュートを打ち、3ポイントを決めた。


 タイムアウトがあった後でも、俺達のバスケは全中に出場している女子バスケ部に通用していた。普段ボコボコにされている相手と競り合えている事が単純に嬉しく、試合が面白いと思えていた。



 ――ビィーー。

38-32。俺達が、6点差でリードして2ピリが終わった。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるのっ……!」


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― 新着の感想 ―
バカ系ギャグ話かと思ったらしっかり面白くて一気読みしてしまいました
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