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まだ見ぬ夢の果て『おっぱい』

 ――ギーコー。ギーコー。ギーコー。俺はいま公園にいる。

「試合って何時からだっけ?」

「10時からって聞いていますよ?」


「今9時か……そろそろ行かないとマズイよね」

「西野先生と竹じいに怒られちゃうよ?」

「お! キングか! ラッキー!」


「よっしゃ! 行こうじゃん!」

 そう言いながら滑り台から滑って降りて来る。


 俺達は体育館へと向かう。それは県大会の会場ではなく、赤西中学の体育館。


「「「「「ちわーす」」」」」

 挨拶をして体育館に入る。中に入るとすでに女子バスケ部はアップしていてた。


「遅いぞ!? 何をしていたんだ?」

「すいません竹じい。今すぐにアップします」

 ユニフォームに着替えた俺達は、テキトーにアップし、ベンチに戻った。


「お前達……あれほど良い顔しとったのに、なんだその府抜けた顔は……」

「いやぁだって、今更何をって感じですし……」

「それに相手は全国大会準優勝じゃん? 無理じゃん」


「はぁ……あの試合は本当に痺れて、カッコいいとさえ思っていたのに……やはりお前達は駄目男だな」


「そうは言っても、やる気起きないよね~」

「私もダンカンに賛同します」


 俺達が何をしているのかというと、女子バスケ部と引退試合をする為に今日来たのだった。


東中に勝ったあの日すぐに病院に行ったら、診断は肉離れだった。翌日にある決勝リーグは絶望的だと言われた。

 5人しかいない俺達にとっては、1人が欠けた時点で不戦敗になる。だから無理やりテーピングを巻いて出場した。

しかし、そんな状態で戦って勝てるはずもなく、2日かけて戦った決勝リーグは全敗した。

 俺達の『おっぱい』は、夢のままで終わってしまった。


 それにひきかえ、郡司達は決勝リーグも全勝。

関東大会も優勝して全中に進み、最後の決勝戦まで行って準優勝。本当に惜しい戦いだった。


 俺達だけじゃなく、3年生全員の最後の夏がその時に終わった。

引退してやっとゆっくり出来る夏休みだというのに、郡司とめぐみが本来なら冬にやる引退試合を夏休み中にやりたいと言い出して、夏休み最後の今日、戦う事になった。


 夢破れた俺達にとって、何もやる気が起きない試合だし、バスケに熱を入れられる事も出来ない。

 だるくて面倒だと感じつつも試合するしかなかった。



 ――ビィーー。

「試合を始めます」

 整列すると、郡司達の顔は真剣で、本気も本気だった。


「ちょっとあんたたち、やる気あんの?」

「やる気ある訳ないじゃん! むしろ何でやる気が起きるんだよ」

「やっぱり……もう遅いみたいよメグ……」

「一体なんだよ!」


「メグと話してたのよ。手塚達に負けたまま卒業出来ないって。だけど引退したらバスケなんて一切しないだろうから、実力が落ちる前にやろうって言って早くしてもらったのに……意味無かったみたい」

「ユミ。方法があるよ。手塚君達、私達と試合で賭けない? 私達に勝ったら何でもしてあげる!」


「「「「「!?!?!?!?」」」」」

「ちょっと待って」


 俺達は集まって小声で話す。

「これラッキーじゃね?」

「手塚部長頼むじゃん」

「い、いいのかな?」

「言う価値はありますよ」

「賭けなんだからいいだろ?」

「よし!」

 俺達は整列し直す。


「めぐみちゃん本当にいいんだよね?」

「勿論いいわよ!」

「俺達超本気でやるから!!」

郡司とめぐみの身体を下から舐め回すように見た。


「礼」

「「「「「お願いします」」」」」


 俺達は円陣を組んだ。

「よく見ると郡ちゃんも良いスタイルしてるじゃん」

「そういう目で見るとさ、他のメンバーもいいよね!」

「全員一度に見られるのは最高だな。お! ハートのエース。ラッキー」

「あ。ちょっと想像したら僕、大きくなっちゃった……」

「やる気出てきましたね。私、本気だしますよ?」

 

顔を見合わせて皆で頷いた。


「あかにしーーーー!」

「「「「「OPI! OPI! おれたちーのOPI!」」」」」

「「「「「OPI! OPI! 夢と希望のOPI!」」」」」






 おわり


 最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

 ここからは、私の作品に対する考えや思いなどを綴らせて思います。蛇足になりかねない部分でありますので、興味がない方は飛ばして下さい!

 本当にありがとうございました。



 この作品はアホらしい位、くだらない事に本気になる馬鹿で阿呆な、そして純粋に一直線に突き進むバカ野郎共を描きたくて書きました。

 決して馬鹿にしているわけではなく、人間ってその位単純に行動出来た方が面白く、単純な理由で燃える事が出来るなんて素晴らしいのではないか?とそう思います。


 描いていく中で、自分自身の力に絶望しながらも最後まで書き切りました。スポーツ、特にバスケの試合を描く事は本当に難しいものでした。

 私自身バスケ部に所属していた経験があるので、リアルなものを書きたいと思いつつも、文章で表すには相当限界があるなと感じていました。


 バスケの面白さはそのスピード感だと思っていますが、スピード感を出そうとすると文章が単調になりかねない。しかし、詳しく表そうとすると文章が重くなってスピード感がなくなってしまう。 

 バスケ経験がない人にとっては、バスケのルールってややこしい物が多く、専門用語も相当あるので、難しいと思いつつ書いていました。

 漫画や映像なら動作で表現出来るが、文章ではそういった事が出来ないので難しかったです。擬音を多用するという手段もあったかもしれないと今では思いますが、次に活かしていこうかなと思います。


 私の作品を読んでちょっと笑い、ちょっと熱くなり、日々の生活にちょっとやる気が出てくれたら最高です!


 最後の最後まで読んでくれて本当に嬉しいです。

 ありがとうございます。

 

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