おっぱいが起こした出来事!
「強くね!?」
「僕達って勝った事あるんだよね?」
「一応勝ちましたよ……」
「俺達に負けて、また成長してるじゃん」
「凄いめぐみちゃん」
会場に着いた俺達は、決勝リーグを懸けた郡司達の試合を観戦していた。県大会で勝ち上がってきたチームを圧倒していた。
最初から最後まで危ない場面などなく、最終的には30点差をつけて勝ち上がり、決勝リーグへとの切符を手に入れていた。
「さてと、行くか。次は俺達の試合だ」
俺達は準備をして2階から1階へと下りていくと、試合直後の郡司達とすれ違う。
「待ちなって手塚……」
郡司に呼び止められた。郡司を見ると首にタオルを掛け、右手で汗を拭いながら左手を上げていた。
「…………」
俺は意味が分からず硬直した。
「ハイタッチよ。ハイタッチ!」
「「「「!?!?」」」」
「えっ!? 郡司が!? 俺達に呪いでもかけるの?」
「何でそうなるのよ! はぁ……」
「ユミは単純に応援しているだけよ皆」
めぐみも同じようにハイタッチを構えると、女子バスケ部の皆も同じように手を上げた。
「運と偶然だけではここまでこられない。3年生になってからの努力は認めてあげる。どうせなら一緒に決勝リーグに上がりましょう」
あまりにも驚いて言葉が出なかったが、何事にも厳しい郡司に認められて素直に嬉しかった。俺は激しくハイタッチしていく。
「しゃあ!」
「頑張ってね手塚君」
「しゃあ!」
「頑張って」
「しゃあ!」
「頑張って下さい」
「しゃあ!」
全員とハイタッチした。
「斎藤君、待って」
「ど、ど、ど、ど、ど、どうしたの……めぐみちゃん」
「これ。視界は広い方がいいよ絶対」
「あ、あ、ありがとう」
「頑張ってね!」
斎藤プロはめぐみからヘアゴムを貰った。一度ギュッと握ってから斎藤プロは、鼻先まである長い前髪をヘアゴムでちょんまげスタイルにした。
中学に入学してから初めて斎藤プロの目を見たが、クリっとした可愛い瞳をしていた。生まれつきなのか、左目の辺りに痣のようなものが広がっていた。
「よっしゃ手塚部長! 行こうぜ皆!」
気合いの入った斎藤プロの声でコートに入った。
昨日と同じ会場、同じコートに関わらず、熱気と重圧がずっしりと重く、息苦しさすら感じた。
「集合!!」
「お前等は、くじ運が良いのか悪いのか分からないな全く」
「先生、どうみたって悪いじゃん!」
「自分達は気付いてないかもしれんが、お前達はこれまでの1試合1試合、戦う度に強くなっていった。試合中に成長しとる時もあった……」
竹じいは片膝をつきながら、真剣な眼差しで俺達を見る。
「今日の相手と戦っている最中にも成長出来る。恐ろしいまでの成長速度こそがお前達最大の武器だ! 自信持って戦ってこい!」
「「「「「はい」」」」」
「私がいま何か言った所で劇的に変わる事なんてない。だからこそ言える事はただ1つ。勝ってこい」
「「「「「はい」」」」」
HPが作戦ボード出した。
「昨日、何度も何度も東中の試合を観たじゃん。この試合で大事な事は、どれだけ相手を抑える事が出来るかにかかっているじゃん。相手の攻撃を防ぎ、リズムを狂わす事が出来れば勝機が見えてくるじゃん」
「つまりディフェンスが鍵って事?」
「そうじゃん。だけどそう簡単な話じゃない! スキルも得点能力も高いし運動能力だって高い。だけど止めるしかないじゃん」
「HPがめぐみさんを止めたような、ファウルトラブルに巻き込むなんて事は出来ないのですか?」
「それも出来ないか考えたけど多分無理じゃん。それにめぐみちゃんだけ異常に上手いといったチームじゃないじゃん。ヤンキー野郎以外は得点能力があるから、一人がベンチに下がった所であまり影響がないじゃん」
「おもしれぇ! 今日の俺は絶好調だぜ! どんどんボールを回してくれ!」
「特に手塚部長頼むじゃん。あの4番からほとんどの攻撃が始まる。奴を自由にさせなければこっちにリズムをもたらすじゃん」
「あいつか……オッケー分かった」
「俺はめぐみちゃんに抱きついた金髪クソ野郎をディフェンスしてもいいか?」
「任せるじゃん斎藤プロ。俺は双子の兄の方を守るじゃん。ダンカンはあのスキンヘッドを、篠山先生はあのヤンキーをついてもらうじゃん」
「うん。分かったよ」
「分かりました」
「いつものやろうじゃん」
「そうだな」
「その前にカード引こうぜ」
斎藤プロがトランプを出して、俺達はカードを引いた。
「「「「おーーー」」」」
「エースも決まったし行こうぜ」
「「「「「OPI! OPI! おれたちーのOPI!」」」」」
「「「「「OPI! OPI! 夢と希望のOPI!」」」」」
――ビィーー。
決勝リーグを懸けた試合が始まる。
「礼」
「「「「「おねがいしゃす!」」」」」




