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20/29

パイオツトーナメント開催!!

 大会の会場に訪れた。いつものならさっさと試合を終わらせて早く帰ろうとしか考えていなかったけど、今回は違う。正直緊張していた。

 俺だけじゃなく、他の4人もどこかソワソワしていた。


「それじゃあ荷物を置いたらアップしろ。試合開始は10時だぞいいな?」

「「「「「はい」」」」」


 体育館の2階へと上がり、空いている場所を探して荷物を置く。

試合はすでに始まっていて、手すりに頬杖をついて観戦した。コートでは最後の大会らしく白熱していた。


「おい、やったぜ。俺達赤西中とじゃん。1回戦はもらったな」

 そんな声が聞こえ、隣を見ると今日対戦する渋南しぶなん中の奴らが居た。俺達の目線に気付き、そっぽを向いた。


「おーおー。俺達言われ放題じゃん!」

「まあ好きに言わせておきましょう」

「むしろそう言われた方がいいんじゃない? その方が僕達は楽に戦えそうだし」

「ぶっ潰そうぜ」

「アップでも行こうか」


 俺達は一度外へ出てアップを始めた。いつものなら近くにある遊具で遊んだり、近くのコンビニでアイスを買って公園で食べたりしていたけど、今日はただ会場の外にあるトラックをゆっくりと走っていた。

 誰かがやろうと言い始めた訳ではない。走る事で気分を紛らわしていたのだと思う。


「手塚部長。そろそろハーフタイムじゃない?」

「そうだね……戻ろうか」

 次の試合をするチームは、前の試合のハーフタイムの10分のうち数分間使う事が出来て、ここでアップしたり感覚を掴んだりする。

 コートの端で2ピリオドが終わるのを待つ。


 ――ビィーー。ブザーが鳴った。

 俺達は駆け出して、ゴール下に一列に並び、礼をした。

「おねがいしまーす」

「「「「おねがいしまーす!!」」」」

 たった5人しかいない俺達は、簡単なアップとシュートを打つ。いつもの体育館とは違うし、雰囲気も違う場所でのシュートというのは明らかに感覚が違う。

 俺達のプレイスタイルにとってシュートの感覚は最重要だから、感覚を掴む事はとても大事だった。出来る限りシュートを打ちまくる。


 ――ビィーー。

 俺達はアップを切り上げて、再び礼をしてコートから出た。


「外に走りに行きますか?」

「いや、2階でゆっくりしながら柔軟して身体をほぐそう」

「分かりました」

 

 2階へ上がると、周りがざわざわしていた。不思議に思いつつ自分達の場所へ行くと、思ってもみなかった人が居た。


「あれ? 郡ちゃんとめぐみちゃんじゃん! 何でいんの?」

「本当に塚本って軽薄よな。そういう態度嫌いだわ」

「ハハハ。厳しいなー全く……」

「練習はどうしたの?」

「午後からあるわ手塚君」

 女子は地区予選は出ない。むしろ県大会のシード校なのだから、こんな場所すら本来ならば来ない。月刊バスケットでも特集されているような2人なのだから、地区予選の会場に来たら目立つに決まっている。


「メグがどうしても見に行くっていうから、わざわざ来たのよ。一回戦なんかで負けたらぶっ飛ばすから」

 郡司なりの激励なのだと俺は受け取った。


「ありがとう郡司」

「1回戦が終わったら私達は部活に行くけど、負けないでね?」

 めぐみがそういってハイタッチを求めてきた。


「任せろ!」

 俺達はめぐみとハイタッチをした。

「ほら。郡司も!」

「何であんた達とハイタッチしないといけないのよ! さっさと行きなさいよ」

「皆県大会で待っているから」


 めぐみに激励された俺は、テンションが上がってやる気が出てきた。少し不安になっていた気持ちが吹っ飛んだ。



 ――ビィーー。

 前の試合が終わり、俺達の番になる。礼をしてアップを始めた。


 3分前になり、もう一度ブザーが鳴った。

「集合しろ!!」

 西野先生の声に反応した俺達は、ベンチに集合し座った。


 竹じいが俺達を見渡し、ゆっくりと話しだした。

「大会の初戦ってのは大事だ。特にお前等はな。公式戦で勝った事がないんだ、緊張しているかもしれんし、不安かもしれん。だが、今日の相手ならお前達が負ける事はないだろう。景気づけに勝ってこい」

「竹じいがそんな断言してもいいんすか? 勝負に絶対なんてないじゃん?」

「その通りだ。勝負に絶対はない! だが、お前達が今日まで積み上げてきたものは裏切らん」


「私から言う事もほとんどない。竹じいの言う通りだ。初めて会った時と比べたらお前達は別人に成長した。自信持って戦って来い」

「「「「「はいっ」」」」」


「斎藤プロ、今日もトランプ持ってる?」

「勿論」

「試合の前はトランプを引いて、エース引いた奴がその試合でエースって決めようぜ」

「いいじゃん」

「やりましょう」

「僕もそれでいいよ」

 今回の試合でエースになったのは、篠山先生だった。


「今回は私ですか? 良い場面でパスお願いします」

「任せて」


 ――ビィーー。

 俺達は円陣を組んでいつもの掛け声をかける。


「「「「「OPI! OPI! おれたちーのOPI!」」」」」

「「「「「OPI! OPI! 夢と希望のOPI!」」」」」


 渋南との試合が始まった。

 ダンカンがセンターサークルに入って準備する。


 ――ティップオフ。ダンカンがジャンプしてボールを弾いた。

 ボールをキャッチした俺は、すぐにHPにパスを出す。コーナーに構えた篠山先生にパスを通す。篠山先生は3ポイントを放った。


 ――パスッ。景気良く3点を取って始まった。


 俺達はその後、苦戦する場面は一度もなく渋南を圧倒した。俺達のオールコートディフェンスを嫌がってミスをした渋南。超速攻の7秒オフェンスに付いてこられなくなり、3ピリオドにはガス欠になって走れなくなり、簡単に点数を取る事が出来た。


 HPはやっぱり凄い。最初からこうなる事が分かっていたのだろうか? 

3ポイントを主体とした超速攻攻撃、ディフェンスも前線からしつこくやる事が、ここまで威力があるなんて正直思わなかった。


「89-32。青」


「「「「「ありがとうございまいした」」」」」

 まずは1勝する事が出来た。



 そのまま2試合目も圧勝し、地区予選の決勝へと進む事が出来た。この時点で県大会に出場する事は決まったが、優勝出来ない様じゃ話にならない。

俺達が目指しているのは全中だ。生おっぱいまでの道のりはまだ遠いが、確実に近付いていた。


決勝戦の相手は赤川中。この辺りでは有名な中学で、ここ数年の地区予選で優勝しているのは赤川中だった。

 以前なら相手の名前を聞いただけで諦めただろう。だが、今回の俺達は違う。むしろ勝つ気満々で決勝戦に挑んだ。


「おせおせ赤川! いけいけ赤川!」

「おせおせ赤川! いけいけ赤川!」

地区予選とは言えど、赤川中の応援は凄かった。俺達の事を大声で応援してくれる人がいない事は分かっている。決勝を見に来た他の中学の奴らも、きっと赤川中が勝つと思っているだろう。

だが、今年はそんな事にならない。俺達が勝つ!


「集中しろよ! もう県大会に出られるからって油断するな。お前達が目指している場所を思い出せ? こんな所で負けられないだろ?」

「勝ちますよ竹じい! 何だかワクワクしてるんですよ決勝戦!」

「任せろじゃん」

「今回のエースは誰になるかな?」

「楽しみになってきましたね」

「いつも通りで行こう」


「いい顔つきになってきたなお前達も。この会場に居るほぼ全ての人間が、赤西中がここまで勝ち上がり、ましてや決勝で勝つなんて思ってないだろう。そんな奴らの考えを全部否定してやれ。勝ってこい!」

「「「「「はいっ!」」」」」


 立ちあがった俺達はコートへと入り、円陣を組んだ。

「勝とうぜ」


「「「「「OPI! OPI! おれたちーのOPI!」」」」」

「「「「「OPI! OPI! 夢と希望のOPI!」」」」」


 決勝戦へと挑んだ。


「これより赤西中と赤川中による決勝戦を行います。礼」

「「「「「おねがいしゃす!」」」」」


 センターサークルにダンカンが入り、周りを囲む。


「赤西中が決勝の相手になるなんて思わなかったな」

 相手の4番、キャプテンが話しかけてきた。

「俺達もそんなつもりなかったんだけどね」


 ――ティップオフ。

 ダンカンが弾いたボールはHPに渡り、HPが俺にパスを出した。俺はドリブルでハーフラインを越えた所で、俺はロゴショットを打った。

 今回の試合では俺がエース。ある程度自由にやらせてもらうと思った。


 ――バスンッ。3ポイントを決めた。赤川中の奴らは驚いた顔を見せた。

「ディフェンスー!!」


 さあ、決勝戦を始めよう。





「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるのっ……!」


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