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37話 銀河への旅路と変わらぬ三人

 目を覚ました海咲は、プラントの外にいた。骨ばった硬い枕で寝ていたせいで少し首が痛いな、などと思った。


「海咲さん、ご無事で何より」


 自身の膝に少女を載せて、赤毛の魔女は微笑んだ。柔らかなその表情に、海咲も微笑み返す。


「うん。マゼンタも」


 そうして微笑み合った彼女たちの横。プラントから、光の柱が上がっていく。それは、どこまでも高く。その先には、満天の星空が広がっていた。


「見て。メタブルーたちが、空に帰っていく」


 いなりは、そう呟いた。光の柱は、メタリック・ブルーに輝いていた。それは、彼らの愛の柱。プラントからエネルギーを吸い上げて、彼らは正に、孵化しようとしていた。精一杯きらきらと輝いて、星の海へ漕ぎ出すその姿には、生命の神秘を感じさせる。小さな青い星々が、雄大な銀河に向かって旅立って行く。


 彼らの姿を見送って、海咲は囁いた。


「…マゼ子、怪我はない?」


「ええ、スタンガンで昇天しかけたくらいです。海咲さんのお陰ですよ」


 私のお陰とは。ほんとかなあ。マゼンタ、一人でも脱出できたよなあ。まあ、いいか。本人はご満悦みたいだし。


「どういたしまして」


「おいこら〜いなりちゃんへの感謝はなしか〜?」


 などと言いつつ、いなりは海咲の頬をつんつんとつついた。海咲は振り向いて、微笑んだ。


「いなりも、ありがと」


「…はいはい。どういたしまして」


 ふんふん、と尻尾を揺らした彼女は、そのままぼすぼすと私の顔にもふもふを押し付けた。こやつ、人をわたぼこりみたいに扱いおってからに。


「二人とも、大好きだよ。ぎゅ」


 私はいなりの尻尾を引き寄せると、彼女のちっちゃな体をぎゅっとした。ノータイムで、マゼンタは私からあたたかおいなりを取り上げて放り投げると、代わりにダイブしてくる。マゼンタ・デエーとは、こういう女である。


「私も大好きですよ、海咲さん」


「私は!!?!?!!」


 満天の、星空の下。私たちは、抱き締め合った。私たちは互いのことが大切で、互いのことが大好きだから―命を懸けて、助け合うのだ。そうして互いの心に空いた穴を埋め合って、愛することで、生きていく。私たちは、そういう生き物なのだと思うのです。


 そして今はまだ気が付かなくても、きっと誰かが貴方を愛している。貴方の心に空いた穴を埋めてくれる、そんな優しい人がいる。でも―誰が自分にとってのエウリュディケで、愛するオルペウスなのかは、誰も知りません。


 だから私たちは、想いを口にして、気持ちを伝えなきゃいけないのです。ダンテとローズのように、皆がそれに気が付けたら―きっと、もっと、幸せになれると思うのです。


 まだまだ語りたいことはありますが、脳内のダンテに『愛を知らぬ〜』だの『誰かを愛したことも〜』などと言われているので、ここまでと致しましょう。


「おいなり暑い重い〜!」


 もふもふに包まれて、汗だくになってしまったので、シャワーを浴びてこようと思います。以上、花崎海咲なのでした。




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