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27話 『魔女狩り』 前編

 地下で海咲とダンテが激突する直前。ネリケシたちメタブルーは、順調にウルタール兵士を間引きつつ、爆弾を解除していた。未だ彼らの愛する卵の隠し場所は見つかっていないが、既に地下二階までは調べており、発見は時間の問題と思われていた。


 爆弾を外し、内部の信管を抜く。爆弾の解除方法については、彼らのネットワーク内に情報が存在していた。爆弾の製造工場で単純作業に従事させられていたメタブルーが、解除方法を聞かされていたからである。


 抜いた信管は適当な場所に隠しつつ、爆弾は元の場所に戻す。そうして、現時点ほぼ全ての爆弾を解除することができた。


 しかし。事はそう簡単には進まなかった。


「止まれ」


 ウルタール人兵士姿のネリケシは、傍らのメタブルーを制止した。恐らく次の曲がり角に、数人の兵士がいる。もしや、工作が露見してしまったか―。そう思い、ネリケシは彼らの動向を伺った。


「爆弾敷設の進捗は?」


「ダミーを含め、九割を超えています」 


 ダミー。確かに兵士の一人がそう発言した。ネリケシは不審に思い、耳を傾けた。


「よし。ダンテ様に連絡だ。これより、『魔女狩り』を行う」


 魔女狩り、何の事だ―。更に情報を集めようと、耳を済ませたネリケシ。そんな彼らの足元に、手のひらサイズの何かがころりと転がった。


 咄嗟に、ネリケシは黒馬に化け、その場から全速力で逃げ出した。しかし、彼の傍らにいたメタブルーは、間に合わなかった。


 それは、スタングレネードだった。光はなく、音だけの代物である。その音も調整がなされており、丁度メタブルーにだけ多大なダメージを負わせるような、高周波を発するようになっていた。


 きぃん、という音が通路に響く。メタブルーは変化を保てず、どろりと落ちた。苦しそうに痙攣し強ばった体を、ウルタール兵士たちは無慈悲に攻撃した。


 自動小銃により蜂の巣にされ、メタブルーは沈黙した。しかし、彼は死に際に、有益な情報を発信できた。それは仲間に危機を知らせる、アラートだった。


 そのスタングレネードは、メタブルーを狩ることに特化していた。彼らは『通常の』スタングレネードに加え、対デミ・ショゴス用のスタングレネードを持ち込んでいたのだ。イリスを欺く必要がなくなり、彼らは惜しげも無くその致死性の兵器を投入した。


 ネリケシは感覚を研ぎ澄ませたが―何も掴めなかった。高い周波数の音は回折しにくく、間近で使用されたのでなければ、爆発位置の把握は不可能に近い。


 慌てふためくメタブルーたち。そんな彼らを嘲笑うように、ウルタールの兵士は反撃を開始した。


「常に数人で行動すること。単独行動をしている兵士、或いは他グループに遭遇した場合、スタングレネードを使用しろ」


 少尉の出した指示は、クリティカルだった。ある兵士二人は、巡回中に他の兵士に遭遇した。


「おお、ナイジェル。銃の分解は終わったのか?」


 ナイジェル、と呼ばれた兵士は、へらへらと頷いた。


「ああ、済ませたよ」


 彼の返答に、豹柄の兵士二人は顔を見合わせた。


「警戒中に銃を分解するアホがいるか」


 彼らはにやりと笑って、スタングレネードを起爆した。栓を外された状態で手の中に握られていたそれは、放られると同時に高周波を撒き散らす。彼が本当に『ナイジェル』であれば、何事もなし。


 そして、彼が成り代わられていれば、下手人を射殺して終わりである。


 変化を保てず体を崩壊させたナイジェル―メタブルー。苦しそうに呻いたそれは、自動小銃による十字砲火を受け、沈黙する。水分を失ったゲルのように、ぼろぼろになった体では、銃弾による衝撃を受けきれない。


 次々と同胞が狩られていく。悲鳴が、恐怖が、ネットワークを伝播する。ウルタリアンに変身したネリケシは、偶然遭遇した白猫と共に、通路を走り抜ける。そして、物陰に身を隠した。

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