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36/66

6.3

 日が暮れる前にミミアリマムシのポトフとパンで夕食を摂り、サラはさっさと寝ることにした。

 ベッドに入って自身に命じる。

 眠れ。

 同時にサラは眠りに落ちる。眠れるときに眠る能力はスナイパーに必要である。

 眠れないときは絶対に眠れないのが、スナイパーの待ち伏せだ。

 眠れるときに眠っておかねばならない。ライフルを抱いて眠る。

 暗。

 覚醒。

 サラはバネ仕掛けのように起き上がる。

 ライフルを瞬時に構える。セフティレバーを外す。

 室内は真っ暗である。体内時計で推定。現在AM2時前後。

 ベッド前に、立っている者がいる。

 眼前の人物は、暗闇で誰だかわからない。

「撃たないでくれ。俺は手を引くと告げに来た」

 相手が発した言葉で、サラはすべてを察する。

 メアリの寄越した、蛇使いの暗殺者だ。

「手を引く? 名乗らず顔も見せず、深夜に忍び込んで来て信用しろと?」

「詳細はお前の男に聞け。第一、俺の名前も顔も、知ったところですぐに変わるんだ」

 レイがなんとかなったと言っていたことだし。

 いや。

 自分を利用する相手を、信用するのか?

 サラは脳内で自分の問いに答える。

 その気になったらいつでも殺せる。目の前の男も、レイモンド・ギルマンという男も。

 裏切るようなら殺せばいい。

 でも。

「信用できないなら、次に殺せ。今は撃たないでくれ」

「たしかに。それで()(こと)()しですね」

「ああ。ところで、俺の蛇はどうした?」

 サラはああ、と頭をかいて答えた。

「おいしいポトフになりました。蛇を取り返しに?」

 目の前の相手が、肩をすくめるのが見えた。

「自分の武器は食わねえよ」

 暗殺者の足音はしなかった。ただ、部屋のドアが開き、閉まる音がして。

 ドアの鍵がかかる音はしなかった。

 誰も殺さなくても、逃げられる。

 でも。

「殺したくない、置いていきたくない」

 レイのそばにいたい。

スナイパー、アサシンと対峙するの回。

ブクマ、評価、いいね、ありがとうございます。毎日更新。しばらく6時18時の一日二回。お気に召したら評価をポチっとお願いします。

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