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第二話

約一年前、2021年、大学3年、1月

「そんな大事な書類があるなら、もっと早くやっておかないと」

「すみません」

 コンビニでモップをかけながら、おれは、茶髪でロング、メガネをかけた先輩に謝った。

「もう、なにしてるの。ミスも多いし。ちゃんと仕事しなさい。エントリーシートが今日の12時までって、今10時で、バイト午後2時まで入ってるんでしょ、じゃあもう諦めなさい」

「わかりました……」

 お客様がレジの前に立つ。

「はい、ありがとうございます。合計で1000円になります」

「クレジットカードで」

「はい、かしこまりました。差し込みお願いします……」


「ありがとうございましたー」

「どうした」

 後ろから太い声が聞こえた。

 金のネックレスをつけた、とても大柄な、それでも少し童顔で可愛い男性のオーナーが立っている。

「成田くん、今日12時締め切りのエントリーシートが出したくて、困ってるんですって」

「そういうのは早めにやっておかないと」

「すみません」

 早めにやったんだけど、全然思いつかなくて、あとちょっとで提出ってところでバイトに入っちゃったんだよ! でも言えない!そんな言い訳!

「じゃあ、ちょっとの間おれやっとくから。それ終わったらすぐ戻れよ」

 怖い顔。だけど、おれのためを思って言ってくれている。

「ありがとうございます、オーナー!」

 おれは、すぐに車に乗り、家に帰った。

 ガチャッ

 母親がエプロン姿でおたまを持って顔をひょこっとリビングから出した。

「あれ、おかえり。バイトは?」

「今それどころじゃない」

 おれは二階へと駆け上る。


 就職活動。

 どう動いていいかわからなかった。

 たくさん、企業の説明会に参加した。

 もう、50社ほど参加しただろう。

 おれが、目をつけたのはおもちゃ業界だった。

 自分が考えたものが形になる。

 そして、それが誰かを喜ばせられる。

 そんな、何かを形にできる仕事に憧れた。

 おれは、文系だから、モノづくりはできない。

 でも、企画提案は、できる。

 おもちゃ業界に惚れ込んでいた。

 けれど。

 おれは。

 高校生の頃から。

 アニメが、好きだった。

 それはそれは、もう大好きだった。

 元々好きだったわけではない。

 小6の頃までよく見ていて、それから卒業したのだ。

 でも、高校生の剣道部のメンバーが、たくさんのアニメを紹介してくれるうちに、その魅力にハマっていった。

 大学生に入って、辺鄙なところにある大学に入ったから、通学時間2時間とかいうとてつもない労力を使うところになった。

 その間、ずーっとアニメを見続けた。

 もちろん、ドラマも、映画も見た。

 漫画も、たくさん持ち込んで読んだりした。

 それで、帰りには名古屋駅のコンビニで小説を買って、読んで帰った。

 通学時間の往復4時間は、おれにとっては異世界だった。

 他の世界に入り込んでいる時間だったから。

 次第に、物語の世界にのめり込んでいった。

 

恐れ入りますが、


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・下段の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎


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