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夏山

これで今日5本目の、黄金百合だ。


夏真っ盛り、現実の暦の上ではそろそろコートやジャケットが必要か、となってきた気温の中、ゲームの中では真夏の太陽が瞳を灼く。


ゲーム内でこの2ヶ月ほどはひたすら山に登り、森を歩いていた。

おかげで健脚スキルが伸びる伸びる。

既にLv.4になり、持っているスキルの中で1番高くなった。


夏のハイキングは収穫も多い。

ナワシロイチゴやヤマモモをお土産に持って帰ると子供達が大喜びした。


ついでに孤児院のブルーベリーも順調に育ち、まだ実の数はそれほど多くはないが、樹上で完熟した、スーパーで売っているものとは違う美味しさを提供してくれている。


果樹栽培のスキルも習得した。

これでもっと実のなる木も増やしたい。

杏とかもいいな。


おかげで採取スキルも伸びている。

この2ヶ月で樹上茸も結構取った。

今は黄金百合の咲く季節なので、これまでに調べておいた生育地を巡って採取している。

黄金百合は季節が限定されているからか、樹上茸よりも報酬が高い。

自分の調薬用にもインベントリに保管していて、いつか調薬スキルがもっと上がったらトライしてみるつもりだ。

薬師ギルドの採取依頼は冒険者ギルドを通しての依頼なので、冒険者ギルドランクポイントも貯まるところがいい。


白鷺草はなかなか集められていない。

だってアレ、めちゃくちゃな場所に生えているのだ。

ロッククライミングの楽しさに目覚めつつあるが、それにしても断崖絶壁に育つのはやめて欲しい。

白鷺草は根から丸ごと一株採取する必要があるので元々数が集められない上にすごい所に生えている為、いくら単価が高くても効率は悪い。

だが、まあ達成感は1番ある。


ハイキングばっかりしていたせいか、称号も増えた。


登山家:沢山山を登った証。登山中の安全度が上がる。登山中の移動スピード増加。


木登り名人:沢山木を登った証。木登り中の安全度が上がる。木登りのスピード増加。


森歩きの達人:沢山森を歩いた証。森歩き中の安全度が上がる。森歩き中の移動スピード増加。森の中での採取可能アイテム発見率上昇。森の中での狩猟成功率上昇。


なかなか渋かっこいいラインナップだが、どれも有用だ。

それぞれ1ポイントずつスキルポイントを貰えるのもいい。

これらと健脚スキルが相俟って移動スピードは増したので、地図作製が捗って仕方ない。

結構いい稼ぎになった。


金策を諦めてからお金が入ってくるって不思議だ。

案外そんなものなのかもしれないけど。


日曜日は図書館で本を読むのは変わらないが、日曜大工も始めた。

建築のスキルを1ポイントで取って、古い教会や孤児院のガタが来てる部分や雨漏り箇所を直したり、断熱性を上げる補強なんかをしている。

修復のスキルも一緒になってアシストしてくれている。

ここらは冬結構雪が降るらしい。

冬に対して備えておかねば。

どうやら魔石ストーブがあるので暖房器具は問題ないそうだ。


資料整理は製本作業の佳境に入っている。

写本し終わった古い資料は一律教会地下の倉庫で保管するとのことだが、少しは羊皮紙の本の面影を残したくて革の表紙で装幀したりしている。

ネットで調べると羊皮紙の作り方も細かく載っているし、何より今でも作製して販売している人がいることにも驚いた。

ものづくりの世界は奥深い。


戦闘はなるべく避けているせいか、戦闘関連のスキルは上がらないが、逃走のスキルは上がった。

気配察知と気配遮断のスキルは2つともLv.3になった。

もうすぐこれもLv.4に上がりそう。


生活魔法のスキルも上がって着火の魔法が使えるようになった。

これで冒険に出る時も安心だ。

まだまだヤズイにいるつもりだが、冒険には心惹かれる。

キャンプギアっていいよね。

リアルでもカタログを眺めるのは好きだ。

魔導具屋は危険なので寄り付かないようにしている。


調薬は今も続けていて、最近は日焼け止めの量産体制に入っている。

調薬スキルもLv.3に上がった。

病人が増える冬までにもう一段階上げておきたいので、猫耳婆に言われるがままこき使われている。


同じく夜に錬金術の調合をしたりもしている。

錬成も3ポイントで取得し、ひたすら初級HPポーションを作りまくり、それを錬成しまくって低級HPポーションを作製している段階だ。

売り物としての稼ぎはたかがしれているが、経験値目的なので気にしないで冒険者ギルドに卸している。


薬師の調薬スキルは初級ポーション、低級ポーション、とそれぞれ狙って別々に作れるが、錬金術の方は初級ポーションから低級ポーション、低級ポーションから中級ポーション、と段階を踏んで作製する必要がある。

錬金術は取得ポイントこそ1ポイントなものの、調合1ポイント、錬成3ポイント、合成5ポイント、と錬金術とは別に取らなければいけないのが負担だが、錬成だと石英からガラス瓶を作れるので、それも便利だ。


あとは安定して初級MPポーションを作れるようになりたい。

今は錬金術のスキルがLv.2なせいか成功率が結構低い。

目標は低級MPポーション。

EPポーションは恐らくあまり出番がないと思うので、まずはHPMPだ。


ポーションの在庫や採取したアイテムをぼかすかインベントリに突っ込んでいるせいでインベントリが圧迫されているので、5ポイント使って収納も取得してみた。

これはその名の通りインベントリ容量が上がるスキルだ。

レベルが上がるほど容量が増えるので、あっても困らなさそうなのと必要に迫られて取得した。

ポ、ポイントは無駄遣いしていないはず…。

インベントリ容量97%以上使用しているとスキル経験値が貯まっていくらしい。


図書館の攻略は順調で、歴史・文化風俗のジャンルを読み終わり、今は料理のレシピ本と魔法学の本を読み漁っている。

レシピ本を読んで登録レシピ数が増えるだけでも調理スキルの経験値は上がるらしく、なかなか効率がいい。

調理スキルはLv.3になった。

家庭菜園も上手くいっていて、トマト・ナス・オクラ・トウモロコシなど夏野菜が沢山収穫出来て、食卓の彩りもいい。

この前ガスパチョ作ったら好評だった。


そして、なんと!

遂に栽培スキルを習得した子が現れた!

8歳のホーヤーという男の子なのだが、よく手伝ってくれていて、食べるのも大好きな大人しい子だ。

これで孤児院の食料事情も暫く安泰だ。

自分の栽培スキルもLv.3になり、虫を踏みつける回数が減ってきていて嬉しい限り。


謎の歌唱スキルも毎夕歌を歌ってたら伸びた。

ううん、これどこで使うんだろう。

支援職の吟遊詩人とかだとメインスキルになりそうだけど、ストライダーが歌ってもただの歌で、効果はない。

正直持て余しているスキルだ。


お金が出来たので子供達の好きな色の布を買って、服を作ったりもしている。

裁縫道具は相変わらず教会のを借りている。

自分でパターンを引くのはドキドキしたが、失敗してもどうせゲームの中での失敗なので大胆に裁断した。

デスペナになるわけじゃなし。

しかし、女の子のワンピースって比較的簡単でいい。

男の子のシャツやズボンの方が難しい。


ワンポイント刺繍を入れると子供達が喜ぶので、刺繍のスキルも1ポイントで取ってしまった。

でも、シスターアンナによれば刺繍は冬の内職に最適とのことだったので、無駄遣いではない!

冬場の為にも今から刺繍スキルを磨いておかなければ。


あとは編み物スキルも取ってしまった。これも1ポイント。

秋冬に向けてシスターアンナが編み始めたのを見て、横で一緒にやりたくなったのだ。

今は大物のセーターに取りかかっているところ。

初心者がいきなりセーターなんて無謀かとも思ったが、スキルアシストのおかげもあってなんとかなっている。

子供服のセーターパターンをネットで調べている時に、昔はアイドルが表紙のセーターブックを売っていたと知り、時代を感じてしまった。


まだまだ作りたいものはいっぱいある。

野山を駆け回り、ものづくりをし、なかなか健全なゲームライフも悪くない。

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