第5話 これからは私も一緒です。この意気地無し
「う、嘘でしょ…」
剣を構えた俺に驚愕した声で、少し震えた声で言った。
「な、なんで…?」
俺の格好はとにかく無様だった
剣を持った瞬間足はガクガク震え、剣を持つ手もこれまた酷く震えてる。構えようにも構えることが出来ない。
「な、何があったんですか?」
「ご、ごめ…ん。こ…れい…じょう…は…」
俺は今持てる力を口に集中させ声を振るえながら謝った。
そして剣を落とした。
剣は地面につき俺の震えも同時に治った。
「どうしてそんなに…」
「ごめん。これ以上は言えない」
そうですかといい剣を武器の棚にしまった。
そのまま無言で俺たちはトレーニングルームから出た。
久美子は討伐依頼の所ではなく、採取系の依頼に目をつけた。
「宮間くんはいつも工場とかの仕事を手伝ったりしてましたよね?でもこれからは私もいますから今後はそういうの禁止です」
「あ、はい」
そう注意しながら掲示板に貼ってあった1枚の紙を取った。
このギルドでは依頼が紙に書いてあり、自分が受けたいと思ったやつを1枚剥がしてギルド嬢に渡して依頼開始となる。
俺は久美子が剥がした紙を見た。どうやら薬草を採取するようだ。
「薬草採取ですね。承りました」
そう笑顔で俺達を見送ろうとした時受付嬢は言葉を続けた。
「最近魔族がウヨウヨしているとかしてないとか。気をつけてくださいね」
「分かりました」
魔族か。結構やばいな。噂では何人もの人を殺したり、何人もの人を魔人化させたり。何が目的なのかは分からないがとにかくやばい。この採取で出会わなければいいんだがな…。
「あの宮間くん。家に武器とかありますか?」
俺の実力を見るためトレーニングルームにそそくさと入ったのはいいが自分の武器を調達するのを忘れてしまったようだ。
不安になりながらも一旦家に帰る。と言っても久美子が使う武器なんて知らないけどできれば買うより家にあるやつを使ってもらいたいからだ。
家に着き俺は家にある武器をかき集め久美子の前に出した。
「うわ…凄い無いですね」
「それについては見て見ぬふりしてくれ」
剣2本だけ出したのだ。そりゃそんな反応になるだろう。
「ではこれを貸していただきます」
「使いやすかったらあげるよ」
そう言って俺は1本を久美子にあげた。
「一応これを付けるといい」
「剣ホルダーですか。何から何までありがとうございます」
「気にしなくていいよ。それに仲間だろ?」
「そうですね。って宮間くん?」
そう言って不思議そうに首を傾けた。
スムーズな会話が途切れた瞬間であった。
「どうして剣を腰に…?剣振れないでしょ?」
そりゃそうだ。あんな無様な姿を見られたんだからな。
「ああこれは癖っていうかなんというか。昔から腰に剣があったものでな、無いと落ち着かないんだよ」
「え、でも日常生活どうしてるんですか?私と会った時も無かったですし」
「我慢してたんだ」
そりゃ驚くよな。うん。分かってたよ。だが俺は大人だ。我慢くらいできるものだ。
「さ、さあ薬草採取に向けまずはパイカラ森林に向け出発だ!」
こうして俺たちの初任務?は始まるのであった。
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