第4話 私たちはもうチームなのです
俺は久美子の部屋を用意するため準備を進めた。
物置部屋化していた部屋はすっかり女の子の部屋になった。
「じゃあこの家でのルールを決めようか」
女の子と住むんだ。そんなことは期待してはいけないし、そんなことしちゃいけない。俺の理性が9割、本能1割で抑えとかないとやばい。残りの1割発動しなければいいが。
「わかった。家事洗濯は当番制とか?」
「そーだね。それからトイレとか…」
結構長い話になった。家事洗濯は当番制。もちろん掃除もだ。別々の部屋を使うこと。部屋に入る時はかならずノックをして返事が返ってきたら入ること。そして、
「風呂入ったあとは必ず脱衣所で着替えてから部屋に戻る。風呂入ってる時の緊急時はどんなに慌てても忘れずにバスタオルを着用すること」
「わかった。君も男だから気をつけるね!」
いや、なんで目をキラキラと輝かせてるのかな?男の心理を探ろうとしないで?
まあ、そんなこんなでルールを一通り決めたら夕方になった。
俺が料理を作ると言ったが久美子は手伝ってくれた。一人暮らしを始めたとはいえ久々に誰かと食べた。久美子が手伝ってくれたからだろうかいつもより美味しく感じた。
その後も何事もなく風呂に入った。まあ、久美子の後の風呂で俺がどう思ったかはご想像にお任せします。
次の日俺はいつも通り早く起きた。そして茶の間に行ったらもう久美子が起きていた。
「おはようございます。宮間くん」
「おはよう。早いね」
寝巻き姿の久美子に朝の挨拶を交わした。寝巻き姿から見て起きたばかりと察することが出来た。
「今日はギルドの仕事ですからね!さー魔物退治にでかけましょう!」
どうやら久美子はやる気のようだ。寝起きからは想像もできないやる気の炎がメラメラと熱く萌えてるのが見えた気がした。
がしかし、そんな久美子に残念なお知らせをしなければならなかった。
久美子が、「そんな顔してどうしたんですか?」と俺の表情を心配してきた。そんなに顔出てたのか。
「ごめん久美子俺魔物討伐できないんだ」
「そうですか…って、えええええええええええええ!」
朝のギルドはバタバタとなにやらギルド職員の人達は忙しそうにしてる。そんな光景を眺めながら俺たちは地下一階のトレーニングルームに足を運んでいた。
「ほ、ほんとに戦うの?」
「当たり前ですよ!これからは1人じゃないんだしどれくらいの強さなのか確かめてみたくて」
俺は朝にこれまでの事(2ヶ月)の事を話した。討伐したことないこと。魔力が他の人よりも少ないこと。その事を話したら驚かれ嘘ついてると思ったのだろう。こうして俺たちはトレーニングルームに直行した。
「はいまず魔力が本当に少ないのか見させてください」
「はいよ」
そう言いながら俺は右手に小さな炎を出した。そしてそのまま目の前にあった的に当てた。
的に当たった瞬間炎は、ぽふっといって消えてった。的は無傷だ。
「ふざけないでくださいよ?」
ちょっと。怒り顔でそんな事言わないで。色々とメンタルがやられるから。
「俺は至って真面目だ。小さい頃からずっとこうだ」
まじですか。と言いながら手を顎にやり考えるポーズをとった。
「魔力がダメなら武器です。ささまずは弓からいきましょう!」
そそくさと武器がある棚に歩いていき弓を手に取って俺に渡した。
「いや、弓使った経験ないんだが」
学校に通ってた頃ですらない。使ってた人は何人かいた気がするけど。
「こーゆーのはセンスです。センスがあればどうにかなります」
はあ、と俺はため息をついた。どうやら逃げられないらしい。
再び俺は炎を当てた的に弓を向ける。弓を持ち矢を用意し構えた。やり方は分からないがこの姿勢が正しい気がする。
「おお。様になってますよ」
俺は集中した。片目をつぶり真ん中に当てるよう弓を持つ手の細かい震えさえ敏感に感じ取りながら微調整をする。
そして俺はここだ!と思って矢を放った。
「お、おおお?」
弓矢は的なんかに興味がなかったのか壁に刺さった。それと同時に久美子が不思議に思いつつガッカリした。
「はあ、全然だめじゃないすか。次は剣っす!」
俺は弓を久美子に預け棚にかたづけた。そして弓と剣を入れ替えた。
「はいどうぞ」
剣を持ってきた久美子は両手で渡してきた。
俺はごくりと息をつい飲んでしまった。
「どうしかしました?早くしてくださいよ」
そう言いながら両手を俺の体に近づけた。俺はそれに負けて剣を手に取った。
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