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第四十一話 メイド決定 ~彼女の名はアデリーナ

少し作品タイトルを変えました

「それじゃゴーレム部門に出す、メイドゴーレムの見極めと行きますか」


「一体、好きなの選んで良いって言ってたよね。どれがいいかなー?」


 メイドゴーレム専門店にならぶ、素体のゴーレムたちを見て回ることにした。



 ちなみに俺たちは今、耳の後ろに角、尻にしっぽを生やしている。

 何かのきっかけでそれらを失った竜人が使う、人工のものだ。義足みたいな。


「ニンゲンがうろつくと、何かと騒ぎになるだろう」と女王が用意してくれたものだ。


 竜人なりきりセットみたいで、ちょっと面白い。



「竜人シルヴィアちゃん可愛い!」


「いやあ、皆も可愛いよ」


「こういう格好も。新鮮」


 レリアとマティは無邪気になりきりを楽しんでいる。


「……」


 エリーザは落ち着かない様子。


 しかし、ときどき姿見で自分の姿を見て、まんざらでもない表情をしてるのを見逃す俺ではなかった。




「うーん、どれにしようか迷うな―!」


 レリアが棚に並べられたメイド素体を眺めながら、うろうろ。

 素体なので、まだ服を着てない銀色の裸ボディだ。


「AMG-9207タイプをお勧めしますよ! 比類ない耐久性、飛躍的に向上した連続駆動時間!

 

 肌の滑らかさも向上して、(以後うんちく)」


 店の人がべらべらと喋ってくるが、正直良く分からん。

 メイドゴーレム素人の悲しさよ。


 ぱっと見、違うと分かるのは髪型くらいだ。


「単純に、最新式を選ばれては? ゲスト待遇で、料金は女王持ちという事ですし」


 エリーザの提案ももっともだ。

 女王さん太っ腹に感謝。


 一家に一体どころか、竜人一人に一体レベルで普及しているとはいえ、そこまでお安くはないはずだ。

 値段表見ても、竜人の通貨単位なので良く分からんけど……


「みんな可愛い。迷う」


 マティもレリアと一緒にうろうろ。決めかねている様子だ。

 完全にお人形さん選びみたいな感覚なんだろうけど……


「戦うわけだからなあ、出力とか耐久性重視の方が良いんじゃない?」


 と、ふと棚の隅に置かれた、やたら四角いパーツのメイドゴーレムが目に留まった。


「なんだこれ。やたらカクカクだな……」


 他のものは手足も顔もなめらかだけど、こいつだけ妙に角ばっている。

 手も、板みたいだ。


「ああ、それ初期型のMG-0001タイプだよ。俺ならお勧めしないねぇ」


 店の中に居た、客の竜人が話しかけてきた。

 フードを深く下ろし、丸いサングラスをかけている。なんか怪しい格好だな。


 しかしいるよな、店員でもないのに語りたがる人。


「初のメイドゴーレムとして世に出たが、この通りカクカクなんで、動きが鈍い。


 手先も不器用、メイドとしてやっていけるレベルではなくてねぇ。


 結局、耐久テスト程度にしか役に立たなくて、皆から見捨てられたポンコツだよ。


 みすぼらしい見た目だろ? 完全にカスだ、カス。世代が上のアドバンスドMGにしとけ」


 と早口でまくしたてた。


「はあ。良い所、なにもないの?」


「ゴーレムとしては唯一、固有スキルがある、くらいだな」


 無機物でありながら、固有スキルって。

 それって超貴重なんじゃないの?


「まったく役立たずのスキルだ。【スキル一秒コピー】。


 誰かほかの人の固有スキルを、コピーして一秒だけ使える、というものでなぁ。


 何度でも使えるが、そのコピースキルを使ったら、次に使えるようになるまで三秒かかる。


 一秒だけ【火炎無効】になっても、続けて火炎攻撃を受けたら全く意味がなくなるよなぁ!」

 

 うーん、一秒か。


 勇者の【鑑定】も一秒じゃ完了しないし、【空間収納】も物を入れる前に閉じてしまいそう。

 俺の【強く、可愛く、頼もしく】も宣言してるうちに終了だ。


 確かに、使いづらそうなスキルだが?


「そもそも固有スキル持ちの竜人じたい、ごく少数だしな。


 確かにスキル持ちってのはレア中のレア製品とは言えるが、扱いづらいってもんじゃないなぁ。


 大人しく、最新式にしとけ。あれらのメイドたちが統制を取って行動すれば、まさに無敵だ!


 無敵の軍勢だ! それを、あの女王ときたら……あ、いや」


 ?

 なんか妙な事を言いかけたな。


「ともかく。そいつだけはやめとけ。


 まあ君が、底抜けの愚か者なら、これ以上何も言わないがなぁ。


 それじゃあな。正しい判断をするんだな」


 と、サングラスの竜人は店を出ていった。

 なんか怪しいやつ。


 とりあえず、店員に聞いてみたらサングラスのやつが言った事自体は本当のようだった。


「えー? これにするの?」


「カクカク。可愛くない」

 

「シルヴィアさま、いくらなんでも、これは……」


 三人にも不評だ。


 しかし、俺はふと思いついたことがあったのだ。


「……これにしよう。これを俺のスキルで可愛くして、皆で強くするんだ」



 

 ▽




「本当にそのポンコツでいいのか? まあ、決意が固いなら、わしは止めんが……」



 ロレーナ女王にも、妙な顔をされた。

 女王も、一度自分の【構造変化】をこいつにコピーさせ、スキルを使わせたそうだが。


「一秒では、建物どころか敷石を少し動かす程度で終わってしまったのじゃ。


 三秒待てばまた動かせるが、効率が悪すぎる」


 なので、いったん与えた『知性のエネルギー』を抜き取り、店に戻してしまったそうな。


「また、こいつに知性を与える事になるとはの。なにか、考えのことがあってだと思うぞ。


 そうでなければ、がっかりじゃからの」


 そう言って、女王はポンコツに向かって手をかざした。

 すると光が放たれ、その光がポンコツに吸い込まれるように消える。


「……。……ここ、は」


 ポンコツが喋りだした。

 

「すっごい! 本当に、心が芽生えるんだ!」


「おどろき。魂を与えたようにしか見えない」


 『知性の秘術』、確かに目の当たりにすると感心するしかない。



「女王、さま……」


「ふむ。記憶は前のを引き継いでるようじゃな。


 ではアデリーナ、今からそのシルヴィアがおぬしのマスターじゃ。


 誠心誠意、尽くすように」


 ポンコツじゃなく、元々はアデリーナという名前があったのか。


「かしこまりました。女王さま。


 マスター。どうぞよろしく、お願いいたします」


 アデリーナがこちらを向き、カクンと頭を下げて挨拶をした。

 ま、マスターか。うーん。


「呼び方はマスターより、ご主人様、のほうがいいかな」


「かしこまりました。ご主人様」


 いい!その響き!

 テンション上がってたら、マティとレリアにやや冷たい目で見られた。


 理解してもらえないかー!



「おぬしらには、今大会のダークホースになって欲しいところなんじゃ。


 期待しとるからな。このオーブもかかっとるんじゃぞ」


「大丈夫だと、思いますよ」

 

 俺はそう言って請けあった。


 しかしとりあえず、アデリーナはその銀色のカクカクした裸ボディを、何とかしなきゃな。

 俺のスキルの出番だ!

お読みいただきありがとうございます!


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