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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第91話 勝利を望む心

 ノアとルイズに感謝してから転移扉を閉める。

 彼らと話すのは戦いが終わってからだ。

 しっかりと良い報告をするつもりでいる。


 聖剣の魔王の都市は見事に消し飛んでいた。

 荒れ果てた何もない土地が延々と続いている。


 俺は闇の魔王と竜の魔王の力を融合させた。

 言うなればそれは絶対的な破壊の概念である。

 度重なる攻撃に晒された都市が耐えられるはずもなかった。

 いや、無傷だったとしても同じ結果になっていたろう。


(あいつはどうなった?)


 俺はその場から動かずに監視する。

 よく見ると遥か遠くに人影が立っていた。

 元勇者だった。

 見間違うわけがない。

 奴は聖剣を盾のように構えて、紛れもなくそこに存在している。


 今の攻撃を凌いだらしい。

 信じ難い生存能力であった。

 おそらく得意の剣術で限界まで光を相殺したのだろう。

 威力を抑えつつ、遮蔽物を利用して全力で防御したのだ。


 それでも周囲がすべて消滅した中で生存しているのは異常と言えよう。

 あいつだからこそ成立した対処法だ。

 さすがは一級の英雄である。


 もっとも、元勇者とて無傷ではない。

 それどころか満身創痍と表現すべき状態だった。

 全身が血だらけで身体が揺れている。

 足元には血だまりが広がっていた。


 防御に使った聖剣には亀裂が走っている。

 あれは限界寸前だ。

 今にも砕け散りそうなのを無理やり維持している。

 武器としての死を迎えるのは時間の問題だろう。


 元勇者は今にも倒れそうだった。

 優勢から一転して追い込まれている。

 それにも関わらず、奴から感じる闘志は微塵も衰えていなかった。

 今も遠目からでも分かる迫力を以て俺を睨んでいる。

 凄まじい執念だった。


(熱い視線だな。こっちも見つめ返してやるよ)


 俺は魔眼で元勇者を注視する。

 ここまで弱らせれば、直接干渉も可能だ。

 存在を捻じ曲げて畳みかけて、一気に戦いを決めてやろう。


 幻創魔術が発動し、佇んでいた元勇者に異変が生じた。

 片腕の皮膚が樹木のような質感となり、枝が分岐しながら成長する。

 背中からは蔦が伸びて、顔や首に絡まっていく。

 木の根に覆われた両脚は、地面に潜り込もうとしていた。


 変容を察した元勇者は、聖剣を自らの肩に突き刺す。

 すると植物の生長が鎮まった。

 それ以上は悪化せず、幻創魔術による追加干渉もできなくなる。


 聖剣の持つ状態固定の効果だ。

 あえて自分に刺すことで、俺からの干渉を抑えたらしい。

 咄嗟の判断としては上出来だろう。


 元勇者は聖剣の亀裂を殴って刃を折った。

 肩に刺さった破片を指で押し込んで体内に固定する。

 続けて両足の根を引き千切り、片腕の枝を引き剥がした。

 ひとまず自由になった元勇者は、割れた聖剣を手に歩いてくる。

 その目は勝利を渇望していた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なかなかしぶといな、元勇者。 [一言] 鬼畜王と化した元勇者の『勝利を望む心』が木端微塵に砕け散る瞬間を心待ちにしています。
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