第80話 進み続ける意志
数日後、俺はノアとルイズを集めて作戦会議を開いた。
円卓を囲んだ状態で会議を始める。
さっそく口を開いたのはノアだった。
「どうするのだ。世界は混沌に満ちている。方向性も定めずに、誰もが敵も味方も関係なしに暴れ狂っているのだ。このままでは本当に滅んでしまうぞ」
「分かっているさ。だからこうして集まって話し合おうとしているんだ」
俺は冷静に言葉を返す。
続けてルイズがこちらを見た。
「貴様のことだ。何か策はあるのだろうな」
「策も何も、やるべきことは一つだろう。つまり聖剣の魔王の暗殺だ。あいつが諸悪の根源なんだ。これ以上、世界を乱される前に潰しておかなければならない」
俺は端的に述べる。
前々から分かっていたことだが、やはりそれしかない。
ノアは難しそうな顔で腕組みをした。
「聖剣の魔王を殺して事態は解決するものなのか。その段階は超えてしまったように思えるが」
「確かに即時解決は無理だろうな。あいつの影響力は端々にまで浸透している。いなくなるとそれはそれで混乱が生まれるはずだ。しかし、もう野放しにはできない。生かしておくと、さらに世界は悪化していくだろう」
俺が意見を言うと、ルイズの目付きが鋭くなった。
じろりとこちらを注視する。
「あいつの狙いは貴様だな」
「そうだ。どこかで俺の素性を掴んだのだろう。よほど警戒してるのか、全力で潰しにかかってきている。報復を恐れているのかもしれない」
元勇者も馬鹿ではない。
俺がどれだけの能力を習得したかは予想が付いているはずだ。
だから真っ向から仕掛けてはこないが、着実に外堀を埋めてきている。
「問題なのは、元勇者が他の犠牲を一切勘定に入れないことだ。あいつは目的のためならば他者を平気で犠牲にする。とても見過ごせない」
「それは我らにも言えることではないのか」
「確かにな。所詮、俺たちは自己満足で動いているだけなのかもしれない。だがそれでも大義がある」
俺は立ち上がって二人を見る。
それから本音を告げた。
「元勇者にも大義はあるのだろうが、少なくとも俺は許容できない。だから潰す。結局、似た者同士なのかもしれないな……自分が気に食わないから殺そうとしているんだ」
ルイズが長いため息を吐いた。
それから俺に確認する。
「開き直り……いや執念と言うべきか。もう迷いはないのだな」
「逡巡している暇はない。使命と目的のためにただ進む。それだけだ」
頷いた俺は転移扉を生み出した。




