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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第2話 三流幻術師は過去を超える

 俺は感慨深い気持ちになり、改めて周囲を見渡す。

 殺風景な森の中なのに、とても嬉しくなった。


 それも当然だろう。

 五年もの間、世界は暗闇に閉ざされていた。

 俺は鍛練の末に克服し、自力で辿り着いた魔眼によって切り開いたのである。


「最高の気分だ……」


 俺は上機嫌のままに呟く。

 魔眼で視覚が蘇ったが、盲目の間に培った感覚が衰えたわけではなかった。

 むしろ魔眼と組み合わせることで、さらに強化されたと言える。

 今ならば遥か遠くの反応を捉えることもそう難しくない。

 本来なら大掛かりな術や道具が必要な魔力解析も、視認しただけでこなせそうだ。


 ひとまず俺は、幻創魔術でこしらえた手足と目の調子を確かめる。

 特に問題はなさそうだが、実際に動かしていくうちに不備が見つかるかもしれない。


 舞い上がってばかりでは失敗する。

 油断が命取りになることは、森での生活でよく知っている。

 強大な力を持つ魔物でも、気の緩みと不運が重なると死に至るのだ。

 目の見えない俺が生き延びられたのは、常に最悪の事態を想定して警戒し続けたからだろう。

 だから今回も、思いつく限りの検証を念入りに繰り返す。


 その結果、手足と目は絶好調であることが判明した。

 実際には存在しないので、基本的に疲れることがない。

 傷付いたとしてもすぐに修復できるし、形状も自在に変えられる。


 俺の発想次第で無限の可能性があるのだ。

 強いて言えば、魔力が切れると消失するのが欠点だが、そこは残量に気を付ければ問題ない。

 自ら開発した幻創魔術の有能さを、存分に思い知らされることになった。


(ここまでの能力があれば、森暮らしも卒業だな)


 手足と目を欠損した幻術師など、何の役にも立たない。

 しかし、俺は逆境を乗り越えて強くなった。

 今こそ次の段階へと進む時だろう。


 不安は感じない。

 それだけの自信に満ち溢れている。


 俺は人里のある方角へと歩き出した。

 徒歩では時間がかかるが、別にあえて急ぐ理由もない。

 色々と検証を続けながら移動すればいいだろう。


 ふと自分の格好を見下ろす。

 布切れ同然の薄汚れたローブに泥まみれのブーツ。

 シャツやズボンも似たような有様だった。


 五年の月日でここまで酷い状態になったのである。

 さすがにこの格好で街に赴けば、衛兵に捕まりそうだ。


「今のうちに整えておくか」


 俺は幻創魔術を発動し、衣服を新品にした。

 着心地が劇的に改善されて、裂けた部分や穴も塞がっている。

 勇者パーティと旅を始めた当時と同じ状態に戻っていた。


 これなら誰にも文句を言われないだろう。

 不審がられることはないと思う。

 やはり身だしなみは重要だ。

 誰とも会わない日々が続いたせいで忘れるところだった。


 綺麗になった衣服に満足していると、前方に大量の魔力反応を感じた。

 どうやら魔物が集結しているようだ。

 俺は魔眼の出力を切り替えて、詳しい状況を分析する。


 少し開けた場所にいるのは、多種多様な魔物の群れだった。

 森林地帯の最大勢力で、種族を問わず徒党を組む珍しい一団である。

 魔王軍の直接的な傘下ではないが、部分的に結託しているらしい。


 奴らは遠征して人間の街をや村を襲い、物資や人間を攫って生活をする。

 言うなれば盗賊稼業を営む魔物であった。


 奴らは五年前に俺達のパーティが敗北した集団である。

 討伐を試みて失敗し、荒野で追い詰められたのだ。

 そうして勇者達は撤退し、置き去りにされた俺は目を潰された。


(今までは避けて暮らしていたが、もうその必要はない)


 俺は魔眼で奴らを捕捉しながら進んでいく。

 逃げも隠れもしない。

 あの頃の弱かった幻術師から生まれ変わったのだ。

 それを証明しなくてはならなかった。


 決意した俺は茂みを駆ける。

 そうして奴らの前に躍り出ると、幻創魔術を解放した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こちらの新作は、今のなろうで最も需要が多いと思われるテンプレ(※)を意図的に踏襲した作品ですね。 (※いわゆる「迫害→チート化→ざまぁ→もう遅い」) こちらも続きを楽しみにしています!
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