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どうしてお兄様は王太子なのに婚約できないかって?その理由を妹の私は知ってますけど、分析が足りないですわ。お兄様…あのお父様とお母様がいれば無理ですわよ。

作者: ゆうな

「どうして僕は18になってもまだ婚約できないんだ!」


「あら、それは当然ですわよ。お兄様」


 私はぽりぽりとクッキーを食べながら、お兄様が叫ぶのを聞きます。

 眠いですわとか思っていると、どうしてだ! と私の肩を掴んで聞いてきました。


「だってあのお父様とお母様の息子であるお兄様と婚約したいって女性なんて現れるわけないですわよ。いたとしてもよっぽど野心があるとか、よっぽど世間知らずとかでしょうねえ」


「え?」


「お兄様、聞いたことがあるでしょう。あの庶民であるお母様と王太子であるお父様の一大ロマンスに隠された、あの醜聞を」


 私はそろそろ婚約者のアークとデートの約束の時間ですわなんて思います。


「どうしてだ、エミリア!」


「どうしてだって、だって庶民と恋に落ちた、だからお前との婚約を破棄する! お前は愛するマリアをいじめた極悪人だ、断罪の上、処罰する! で伯爵令嬢が首を落とされましたのよ? まだほんの20年前の話ですし」


 人の記憶には残っていますわよねと私はふうとため息をついて答えます。


「お兄様だって婚約者のいる殿方をとるほうがわるいってわかりますわよね? だからいじめられてもまあそれはそれで仕方ないというか」


 私はあのお母様の娘だって私も敬遠されてますのよとクスっと笑います。

 お兄様って鈍すぎますわ。


「いや、エミリア、でもお前には婚約者が……」


「私、14のいままで、努力してきましたもの。それにアークは私たちの従弟ですし、首ちょんってことはあのお母様とお父様でもしないだろうってことでなんとかおじさまが了承してくださいましたのよ。あと、アークがどうしても私と婚約したいってべたぼれでしたし」


 アークは12歳で、2歳年下です。私はアークとよく遊んでましたが、1年前に君と婚約したいって言われたときは驚きましたわ。

 だって私は努力はしましたわ。

 それに惹かれたんではなく純粋に私が好きというアークに驚きました。


「私、アークは弟みたいな感じでしたが、愛を直接告げられるのはやはりいいですわよねえ」


 アークのお母様はお父様の妹、つまり公爵家の次男のアークと私の婚約をすさまじくおじ様が嫌がったのは知ってますわ。

 息子に何かあったら、家まで連座ですし。


「僕に婚約者が見つからないのは、あの両親のせいだと……」


「よほどのチャレンジャーでないかぎり無理かと、だって下手をしたら家を巻き込むか、首を切られますし、私は亡きご令嬢の墓前にお花は必ず命日に備えますの。でもお家は一家離散で、ご親戚は見つかりませんし」


「お前……」


「うーん、うまくいけば、隣国当たりの行き遅れのほらアマリー王女様レベルでしたらなんとか、お兄様お顔はいいですし」


「いやあの方は母上ほど年齢が……」


「お兄様は18、あの方は38歳ですが、まあ政略と考えれば、跡取りは養子をとればいいですし」


「お前……」


「だってろくでもない両親のしりぬぐいをさせられるのはわかってましたし、5歳で悟りましたわ」


 ふっ、私だって5歳で、人々の避けられているくらいはわかりました。

 噂話を聞いて、親がまずいことをしでかしたのはわかりましたし。


 お友達もやっと一人できましたが、苦労しましたわ。

 お兄様みたいななんとかおこぼれにあずかろうなんて馬鹿な男たちみたいな人たちは女性にはいませんわよ。


「ふう、しかしお兄様、野心あふれる女性か、それともおバカすぎる庶民の方をひっかけたらまだチャンスはありますわ」


「いや、お前……」


「あら、私そろそろ、アークとデートの時間ですわ」


「エミリア、なんとかしてくれ!」


「って言われましても、あ、よければ野心あふれる女性とやらを調べておきますわ」


 私は調査能力が高い家臣を持ってますし、お兄様みたいにほえほえはしてません。

 アークが浮気をしたら即婚約破棄をしますけど、首を落とすなんてことはさすがにね。


「……僕を敬遠する女性ばかりというのはやはりなんともならんのか」


「お兄様は悪い方ではないですが、天然です。天然だからこそ野心あふれる女性がいいのかもしれません。あれと渡り合えるかもしれませんし」


「……わかった。頼む」


「はいわかりましたわ」


 私は早速侍従に調査を依頼しました。しかしねえ、18になって初めて気がつくって遅いですわ。

 私はアークが迎えに来たので「はーい行きますわ」といって扉を開けました。


「エミリア、今日はどこに行く?」


「そうですわねえ、アークに任せます!」


 きゃっと私は笑い、その手につかまります。男をたてるのが一番。

 あ、でもアークは演技をしなくてもエミリアの本性は知ってるから別にいいよと苦笑いします。


「あら」


「どこに行きたいか言ってごらんよ」


「そうですわねえ、商人がやってきているそうですが品物を見てみたいですわ! あ、お高いのはいらないので」


「相変わらずだねえ」


 アークの手を握りしめ私は笑います。

 何とか成人するまでは国が傾かないで欲しいですわ。

数あるなかからお読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] どう考えても両親を閉じ込めて毒杯飲ませて国民には病死と発表して貴族にはちゃんと報告して安堵させた上で王位を息子が継いで両親は不貞による理不尽な処刑だと正式に謝罪し首を切らない法律作って嫁に来…
2021/11/14 17:15 退会済み
管理
[一言] そもそも自分の浮気棚に上げてその浮気相手虐めたから死刑ってかなり……かなり……かなりアレだよね。直截的な表現を躊躇う程度には まぁ虐めるんじゃなくて金も権力もあるんだからバレないように『事…
[良い点] これから面白くなりそうと言う下地は見えた。 [一言] でも、短編と言われるとオチが中途半端。 連載モノの導入編と言われれば、これは面白そうだからブクマしよう!となるレベルで掴みはOKだった…
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