お家探検
05話
「・・・ここは?」
何故か外で椅子に座っている、目の前のテーブルには、手紙とコーヒーがありコーヒーを手に取り、一口飲む・・
「ふぅ、美味しいな」
コップを置いて手紙を見る
〝飯野さんへ
ミトラちゃんが言っていた召喚魔法に割り込んじゃうのは、自由に動かなくなるかと思って、時空の壁に空いた穴を利用することにして、別の場所に転移してもらいました。
拠点となる家はサービスです。
ミトラちゃんからのボーナス特典付きですよ。
貴方が少しでもこの世界を楽しめます様に
ヴァルナより〟
地球の神からの手紙じゃなくて良かったな、イラッとして全部読む前に破りそうだ。結局、編成は教えて貰えなかったし、後、改良って言ってたな。
其れにしても妙に落ち着いる自分がいて不思議に思った。
「まぁ、パニックになるよかマシか」
改良の所為なのか、コーヒーのお陰なのか分からない。
改めて周りを確認、大きめの平屋の家があってその家を囲う様に柵がある、玄関から柵まで5メートルくらいかな?柵の先は、木、木、木、森の中か?取り敢えず裏庭の方を見てみるか。家の裏側に出ると右側に湖が広がり、左側には草原が広がっている。
「こっちが正面じゃね?玄関こっち側のが良くね?景色最高なんだけど!」
ウッドデッキも付いてるのは嬉しい、もしかして従魔との生活を考えて拠点を作ってくれたのかも、『ヴァルナ様、ありがとうございます。』と、心の中でお礼をする。
今後の事を考えてステータスを確認しようかと、「コンソール」と、呟くが出てきたのは、タブレットだった。ゲームみたいにキーボードとモニターだと思ってたからビックリした。
気を取り直してタブレットを確認する
アイテム
ステータス
帰還
流石にゲームと同じとはいかないのか、シンプルになった画面を見て気になった〝帰還〟をタップする。
帰還先 拠点 or ロビー
と出た、ロビーに行けると思いホッとする。家の中を見たいのでキャンセルしてタブレットを消そうとするが・・・・・
「どうやって消すの?」
消し方に悩み、『消えろ』と念じてみると、タブレットが消えてくれた。
「良かった。さぁ、お家探検するかな」
裏の勝手口らしきドアを開けて中に入る。キッチンがあり、奥にはリビングが見え、家電も一通り揃っていた。日本で馴染みのある物ばかりだ。
「剣と魔法のファンタジーって言ってたと思うんだが・・・、もしかしてミトラ様の特典かな?」
考えても答えは出ないので、キッチンの引き出しや扉を開けて中の確認をしていく。
「調理器具や食器類も揃ってるのは有難い、冷蔵庫の中は・・・」
右側のドアを開けると、調味料やドレッシングが並んでいた。次に左側のドアを開ける。
「おぉ、ビールが一杯だ」
そして棚には、下段から、各種の肉があり、中段はジュース類、最後の上段は卵とキムチと絹ごし豆腐があった。
「何か、家の冷蔵庫の中身と同じ様な・・・?」
まさかなと、思いながら冷凍庫を開けると、餃子に唐揚げ等の見覚えのある物だった。
「ラインナップは同じでも量が多いな、2人の女神様からのプレゼントか?」
神様だから何でも有りだろうと思い、冷蔵庫のドアを閉め、室内探索を開始した。
結果は、3LDKだった。温水洗浄機能付きトイレに風呂場も広く快適な生活が出来そうだった。
リビングに戻って、ソファーに座り寛ぐ。
「そういや何でテレビまであるんだ? まさかな・・・」
テーブルの上のリモコンを手に取り電源ボタンを押した。
「本当に何でも有りだな。各局の放送が観れるのは嬉しいが、快適すぎて家から出たく無いよ。」
折角、異世界に転移して来たのに冒険しないのは勿体ないと、自分に言い聞かせる。
タブレットを出し、帰還をタップしてロビーを選択する。