7つの死
「さて、勇者。私は、気落ちしています」
<称号『おこなの?』を獲得しました[-1]>
「そうです」
やっぱり、システムの台詞も見えている。
あと、ポイント減らすな。
「私も減らせますよ[-99,999]」
げ。
ポイントがゼロに。
マイナスにはならなかったが……
「私は、おこです。本来であれば、勝利のファンファーレが鳴っていて、余裕の表情で来た貴方達を、薄氷を踏む様に蹴散らす……その落差、その絶望の表情を鑑賞する筈が……そう警戒されていれば、台無しです」
趣味悪い。
「高尚と言って下さい。そして……絶望的な力で圧倒するのも、パイロが既にやってしまいました。焼き直しても、つまらないですよね」
恐らく実力はパイロより遥かに上。
と言うか、俺の心の声どころか、システムメッセージまで読むし。
「ヒタカの考えが正しい様だね。僕達でも、心を読むなんてできないし……システム?とかの存在も知らない」
ハナが、険しい顔で言う。
ともかく……先手必勝。
「スフィンクス、お前に決めた!!」
持ちうる最大の攻撃。
パイロも倒したコイツなら……!
「好きに攻撃して、ってシーンは、焼き直しになるのでやらないですよ?」
ギジッ
出現しかけていたスフィンクスが霧散する。
召喚の妨害……!
「どちらでも良いんです。お仲間を惨殺してから、貴方を殺すのも。貴方を殺して……その後で、お仲間がどうなったのか、想像させてあげるのも……」
ルシファーが手のひらを上に向け、右手を差し出す。
手のひらの上に、炎が灯る。
くそ……時間停止だ!
<称号『欲情しました?』を獲得しました[1]>
もうそれで良いよ。
時間を止めてくれ。
ピシッ
世界が停止し。
「分かっているとは思いますが。たかが時間停止なんかに付き合ってあげるほど、寛容では無いですからね?」
ルシファーが、静止した世界の中で、頬をかきつつ告げる。
やはり無理か……
「あと、私に欲情されても困ります。元の世界で、ハーレムを満喫して下さい」
ルシファーが苦笑いをして……
「あ、勿論、ドゥーア──華田花蓮はこの世界ごと滅びます。元の世界に戻れるのは勇者だけ……己の至らなさを悔やんで下さいね?」
クラスメート達はみんな駄目らしい。
ハナは、女神と約束していたんじゃ無かったのか?
「魂ごと消滅させるので、大丈夫です。その方が、より悲しい思いができるでしょう?」
……女神と言い、こいつと言い……
「では、死んで下さい。この技は、今後この世界の悲しみを語り継ぐ、貴方への手向け……7つの死が、貴方を殺します。せめて幾つかは耐えて下さいね?」
ルシファーの周りに、光が集まる。
せめて何か抵抗を……そんな意識すら持てない。
がっくりと、膝をつく。
死が、迫る。
「……だんまりですか。面白く無いですね。もっと泣き叫んで欲しかったのですが……もう逝きなさい」
光のうち、赤い光が膨れ。
俺をズタズタに切り裂く、火の概念。
回避すら赦さぬそれは、手を、足を、身体を……次々と炭化、蒸発、そして……圧倒的な熱さの中、眉間を貫く炎……
俺は、死んだ。




