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酒池肉林の渇望と、退廃せる心

「どうして……」


血塗れになり、倒れた男性。

肌が所々露わとなった女性。


「鬼め……どうしてこんな事ができるんですか?」


女性が涙を目に浮かべ、叫び。


「勇者様……何故、この様な事を……?まさか強姦なんて……?!」


……くっ。


俺は、傍についてきていた娘を突き飛ばすと、家の外へと駆け出る。


「勇者ぁああ!おかあから奪った宝石を返しやがれ!」

「この食い逃げ犯め!」

「俺の恋人を殺しやがって!」

「お兄ちゃん……どうして……どうしてお父さんとお母さんを?!」


俺の顔を見るなり、次々と怨嗟の声が。


<称号『ピピ……戦闘力が1桁の雑魚ばかりですね。町ごと焼いちゃいますか?』を獲得しました[1]>


焼かない。


++++++++++++++++++++++


希望は潰えた。

勇者はその欲望に身を委ねた。


もはや勇者には、酒池肉林の渇望と、退廃せる心しか無い。

その手は億万の罪に汚れ。


目を覚ませ、人類よ。

今や、座して悪鬼に怯える刻では無い。


石を手に持て。

包丁を握れ。


非服従の心だけが、未来へと希望を繋ぐのだ。


++++++++++++++++++++++


おい、システム、何だこのフレーバーテキストは。


<称号『駄作ですよね』を獲得しました[1]>

<称号『火鷹の手に掛かれば、この街の皆を焼き尽くすのに、刹那の刻も必要としないのに』を獲得しました[1]>


駄作とかそういう話では無いし。

あと、俺そこまで強くないからな?


「ホダカ!」

「ホダカ殿!」


凄い形相で睨む、エメラルドとマリア姫。

いつもの優しい表情は影も形も無く。


叫びながらも、マリア姫は印を結び、大規模魔法を構築。

エメラルドは、致命的な威力の剣技を構え──


「ま……違うんだ!」


無駄とは理解しつつ……叫び……

とりあえず此処を離れなければ──


--


時は遡る。


「永遠の幻ドゥーアー……それが次のターゲットか」


召喚とか名前に入っていれば、何をするか想像はついたが。

いや、召喚以外の部分が超強かったんだけど。


パイロを倒し、作戦会議中。


「ドゥーアーに関しては、国が遠い事もあり、情報を一切持っていません。マリアは何か知っていますか?」


エメラルドの問いに、


「妾も情報は皆無なのじゃ。かたじけない……」


しゅん、とマリア姫が項垂れる。


「次の国もやっぱり、壊滅的な被害にあっているのか?」


俺の問いに、エメラルドが、


「いえ。森の国エルフィアは、未だ栄えていますよ……王族は滅ぼされましたけど。千年以上前に民主主義に移行し、王族は森に隠れ住んでいたのですが……2年前、義勇軍により殺されました。理由は分かりませんが、恐らくは災厄が……」


「……扇動家に騙され云々って奴だな」


溜息をつく。


「ともかく、虎穴に入らずんば虎児を得ず……とにかく情報を集めようか。恐らく、エルフィアでも何かおかしな事が起きている筈……そこから、災厄への手掛かりが得られる筈だ」


怪しいのは、その扇動家か?

王族を滅ぼした義勇軍……そのあたりを突いてみるか……

後は、クラスメート達がいれば、そこから辿る事もできるかも知れないが。

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