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全知全能の存在

「裁きよ!」


マリア姫の全力魔法。

こっそり詠唱していたのか。


それを、パイロが無造作に出した対抗魔法で、消失させる。


「マリアよ。今そなたが不意打ちを仕掛けるのは、儂は知っておった。故に、お主は不意打ちをしておらぬ」


ん?


「儂は、近しい未来を識っておる。儂の不意を突けるとは思わぬ事だ」


「な……?!」


エメラルド姫が絶句する。


「全知全能の存在、それが儂じゃ」


……おい。

全然強そうじゃ無いのに、普通に強そうなんだが?


「お前の弱点を知る王族を殺したから、安泰って訳か」


「それは誤解じゃ、勇者よ。儂に弱点なぞ無い」


え。


「ふむ……せっかく、儂の用意した結末を抜けてきたのじゃ。冥土の土産をやろう……いや、この場合、異世界不思議体験のお土産、玉手箱といったところじゃな」


座れ。

パイロはその場に座ると、手でそう指し示す。


逆らっても仕方がない。

その場に腰をおろす。


「そうさの……まず、この世界は、何故あると思う?」


おかしな問いだ。


「世界は、ただあるもの。そこに生きる者は、ただ生きている。そこに理由なんて要らない」


俺の答えに、パイロは頷くと、


「そう。まずは理解しているようじゃな。この世界は、悲劇を鑑賞する為の箱庭。そして勇者よ、そなたはこの世界を鑑賞し、愉しみ、そして元の世界で長く味わう……その為に招かれたのじゃ」


無茶苦茶な事を言う。

筋が通っているのが困る。

というか、あの糞女神なら普通にやりそうだ。


「え、このじじい、何言ってるんですか」


エメラルドが半眼で呻く。


「勇者よ、そなたは幾つ災厄を潰しても良かった。だが、全部潰されても困る。その為の安全装置、それが儂じゃ。言わば、地雷カードじゃな。それを引くまでは何枚でもクリアできても……それを引いてしまえば、そこで終わる」


パイロは、とつとつと語る。


「そうじゃな……お主に一番楽しんで貰えるのは……こういうのはどうじゃ?お主等、全員で、好きなだけ儂を攻撃する。儂には一切通じ無い。その後、そう……マリアを殺す。その後は、エメラルドを殺す。最後に勇者、お主を殺す。その後で、この世界を破壊する。どうかの?」


俺は、体中から力が抜けていくのを感じた。

その淡々と語る内容は、一切の誇張を感じない。

ただの真実に聞こえた。


「いくら未来が読めても、同時に攻撃すれば……限界がある筈!」


エメラルドが叫ぶが、


「……俺達全員が、全力で攻撃しても……相手がもろにそれを受けても……傷つけられない気がする」


弱音。

それを聞いたパイロが、


「正解じゃ、勇者。儂の防御力が高すぎて、お主等がいくら攻撃しても、ダメージは発生せぬ」


ふざけるな。


「ホダカ殿……諦めるのかの?」


「いや、一応試させては貰うさ……」


俺は、パイロを睨み付けた。

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