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純粋な悪

「小物って……いや、私はあまり、クローバー姫の事は知らないのですが……」


エメラルドが、戸惑った様な声を出す。


「エメラルドがクローバー姫の事をあまり覚えておらぬのは仕方がない……そなたは、他人に興味が無かったからな」


「酷すぎませんか?!」


エメラルドが抗議する。

そりゃそうだ。


「何というかだな……クローバー姫は小悪党でな……不幸な境遇、低い立場……だが、虚栄心と地位に対する執着心が強くて……エメラルドの様な、純粋な悪とは違って──」


「喧嘩を売っているんですか?!」


エメラルドが涙目で叫ぶ。

怒ったところも可愛いな。


「つまりまあ、エメラルドは何かのきっかけで、善となる可能性があるが……クローバー姫は、その器では無い、といった感じか」


俺が見たところそんなイメージでは無いのだが。


「恐らくただの偏見で、今のクローバー姫を直視できていない……それだけだとは思うのだがな」


「いや、キース君を信じるよ」


キース君は仲間だ。

一緒に世界を救う仲間。

信頼する仲間。


そのキース君が直感で違和感を感じたのだ。

そこには……何かがある。


「私も、マリ……キース君は信じられます。昔から、私が親友と思っていた、唯一の存在」


「認識されてた?!」


「さっきから酷すぎませんか!!」


まあ、そう言われるくらい、色々やらかしてたんだろうなあ、エメラルド。


「そうだな……そろそろ、動こうか」


俺は、キース君と、エメラルドを、順に見て。

そう言った。


--


「遊撃……ですか?」


「ああ。このままでは埒が明かない。俺とキース君、エメラルドは、積極的に夢魔を探し、それを叩くのに専念する」


「はい、分かりました。御願いしますね」


クローバー姫に、遊撃を申し出る。

てっきり止められるかと思ったが、すんなり受け入れられた。


なら……


夢魔は、強い。

だが、何とか力を合わせ……1体、2体。

雑魚を無視して突進、本体を叩けば……意外といけた。

翌日は3体、その翌日は2体……


3日間で7体も倒すことに成功した。

それまでの0体に比べたら、大きな戦果。


だが……何だろう、この、心に引っかかる、もやは。


「相棒よ」


昼間。

湖畔でのんびりキャンプを楽しんでいる時。

キース君が耳打ちしてきた。


「どうした?」


「上手く行っている筈なのだが……違和感が拭えぬ。てっきり、クローバー姫は夢魔を倒させないようにしていると思っていたのだが……あっさり許可され、順調に倒せて……クローバー姫の企みが分からぬ。そこで止めるのであれば、夢魔を倒す事が状況打開の道筋かとも思ったのだが、こうなると……無論、ただ純粋に、クローバー姫が真実を示しているだけかも知れぬのだが」


「俺も、違和感は感じているよ。何というか……こう、心の何処かが、警鐘を鳴らし続けている。ただ、さ」


俺は、情けないと思いつつ、


「クローバー姫は愛らしいな、と、そう感じてしまう自分もいるんだ」


昼間も、クローバー姫が混ざって遊ぶ事が多くなってきた。

唯一の人型……どうしても、愛らしいと思ってしまう。

言葉を飾らなければ、性欲すら感じる。


くそ……エメラルド一筋と決めているのに。


「あのマリア姫にすら心を動かされなかったのに」


「全く心を動かされていなかったのじゃ?!」

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