目覚ましスイッチ
ぱしゃり
発情回復薬を振りかける。
人あらざる存在になった場合。
その存在の感情に引きずられ、暴走してしまう可能性が有る。
食欲然り、破壊衝動然り。
そういった時の為に、予め幾つかのポーションを用意してあったのだ。
「状態異常回復薬だ。幾つか渡しておこう」
「……有り難うにゃん」
エメラルドが何とも言えない顔で受け取る。
激しい感情が無理矢理消された結果か。
ある意味副作用……
「キース君の分もあるぞ。吸血衝動抑制もちゃんと用意した」
「うむ。今のところ吸血衝動は無いようだが、備えあれば憂いは無いな……持てぬ、エメラルド持っていてくれ」
蝙蝠だしなあ。
時々魔法で物を収容していたようだが、魔法も今は使えないんだろうな。
ただの蝙蝠。
「我は少し眠る。相棒も少し寝てはどうだ?」
「確かに、12時まではまだ時間があるが……寝たら起きる自信が無いしな」
<称号『残時間ウインドウ右下に、目覚ましスイッチって有りますよね。それをオンにすると、夜中の12時になったら自動的に目が覚めますよ』を獲得しました[1]>
さっきまで無かったんだけど。
<称号『寝ぼけていたんじゃないですか?』を獲得しました[1]>
そもそも、何で夢の中で寝るんだ?
<称号『御飯を食べて、排泄して、性欲を満たして……散々色々やっておいて、睡眠だけ否定するとは、何故なのか』を獲得しました[1]>
いや、夢の中で睡眠はおかしいだろう。
というか待て、性欲を満たしてって何だ。
<称号『ツッコミは1つにして貰えませんかね』を獲得しました[1]>
ボケは1つにして貰えますか。
というかボケるな。
<称号『お後が宜しいようで』を獲得しました[1]>
宜しくない。
ともかく、目覚ましスイッチをオンにして……
「俺も寝るよ。実は、結構眠くて……」
「ふにゅ、お休みにゃあ」
エメラルドも眠いらしい。
さて……
もふもふエメラルドを布団に引き込み、夢の世界へと……
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起きたら、見覚えのある廃墟。
という事は無く、寝る前と同じ、ふかふかのベッド。
残念。
「起きたか、相棒よ」
目覚ましも無いのにしっかり起きているキース君と、
「にゃ……おはようにゃあ」
もふもふぺろぺろ顔を洗うエメラルド。
残り時間ゲージ横の──もともとあったか?──時計を見ると、24:30。
クローバー姫の待つ王城への移動時間を考えると……妥当な時間か。
<称号『お風呂に入って、御飯を食べて……髪を解かして、お化粧して……』を獲得しました[1]>
しない。
「行くぞ」
王城へと移動。
思ったより早く着いた。
距離、こんなんだっけなあ……
まあ、夢だからいい加減なのかな?
「勇者様、来て下さったのですね」
クローバー姫が微笑み。
周囲には、猫人、犬人、エルフ……基本、人型だ。
椅子はいない。
あいつ戦わないのかよ。




