チート能力
エメラルドは、可愛らしく小首を傾げると、
「あの……ホダカ。何故貴方はそんな事を知っていたのですか?調査は私が、ホダカは不死と戦う為の調整を、と。そう言ってましたよね?」
「ああ、システムが言ってた内容の受け売りだな。エモくねえよ」
<称号『笑えますよね』を獲得しました[1]>
笑えねえよ。
「システム……ですか?」
……うーん。
ゲーマーにとっては当たり前の存在で。
プレイヤーが快適にプレイできる様にサポートする存在……か?
どう説明するかな。
「えっと……神羅万象を識り、情報提供したり……スキルを付与したり、時間を止めたり……そんな存在、かなあ?」
「ホダカ……前から思っていたのですが……それが神様では?」
「……違うよ」
確かに、システムって、改めて考えると凄い事するよな。
別視点、敵の視点でシーン映して、川に毒を流すシーンを見せたり……
ゲーマーにとっては当たり前でも、こうやって異世界で実際に利用すると、これだけでチート能力だ。
とはいえ、システムと神様の同一視は許されない。
神様は性悪な悪魔。
システムは俺の大切な相棒であり、神様に、世界に対抗する為の切り札だ。
<称号『じとー……お世辞ごますりをしても意味が無いと、何度も言いましたよね』を獲得しました[10,000.000]>
うお、一千万ポイント?!
……あれ、思ったより増えてない。
いや、1万ポイントくらい増えてるけど、あれ。
<称号『桁を見間違えたのでは』を獲得しました[1]>
……そうかなあ……
「システム……システムですか……システムに、災厄への対処方法を聞く事はできますか?」
「それは不可能だ。システムは、背景知識、今の状況に対する情報はくれるが……攻略に関わる情報は提供しない。進行に必要な謎解きをシステムがネタバレすれば……それはただのクソゲーだ」
「むむ……知らない単語がたくさんですね」
ともかく。
「今晩も、調整に行く。エメラルドも、無理はするなよ」
「大丈夫です。こう見えて、不死系には強いんです」
ゆさり
エメラルドが胸を張る。
フラグか……?
本当に大丈夫だろうな。
不安を覚えつつ、エメラルドとの時間を楽しんだ。
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「待たせたな、キース君」
「うむ……とは言え、どうせ本格的に喚べるのは夜のみ。支障は無い。昼間に、掻き集めておいたぞ」
晴耕雨読、か。
「今日は昨日より激しくて良いぞ」
「ふむ。もはや魔素で空間が軋んでおったが。げに恐ろしきは、生者の欲よの」
ギジジ……
無数の不死者……しかも、粒揃い。
これなら、スキルの上がりも期待できる。
紫色のミイラが、呪いの爪を突き刺す。
俺の皮膚を貫くとは、相当な強者。
大岩の様な骸骨が、巨大な剣を後頭部に振り下ろし。
キース君が俺を殺しにかかっている……そう誤解する人もいるかも知れない。
問題無い。
これは俺の防御力を確信しているからこそ。
「ぬぅ、流石よの。少しずつ出すつもりが、誤って強者を一度に喚んだが……問題無いようだな」
結果オーライ。
キース君は、初日は理性を失っていた。
翌日、俺は作戦を変更。
解呪ポーション、エリクサー、レジストポーション……色々飲ませまくった結果、魂の呪縛が解除され。
その後、何故か自傷モードになったから、なだめ、何とか立ち直らせ。
それだけで単行本一冊になりそうなドラマの後、ようやく立ち直り。
呪縛からの解放、それに恩を感じてくれたらしく。
不死者召喚能力は健在だったらしいので、俺の特訓を手伝って貰っている。
召喚は、周辺の不死者か、マーキングしておいた不死者を移動させる異能。
別に、魔法で作ったり、異世界から喚び出している訳では無い。
つまり、3年前の悲劇で……もしくは、その後に討伐や盗掘に来て返り討ちにあった被害者……そういった人達の成れの果てだ。
集めて、昇天させる。
これは、効率の良い救済でもあるのだ。
今俺に攻撃している奴等は、元は王様とか貴族かも知れない。
後は高位の聖騎士とか聖者とか。
……システムから聞いた王女様も混じっているのか。
それとも、ラスボスっぽく後から出てくるのか。




