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第十八話

色々と変えてみました。

 話し合いの末、最初に貴族のおっさんからモデナの妹の所へ案内させたあと依頼人の元へ案内させ、モデナは俺とラフィールを連れてお披露目、そこでラフィールは魔術で貴族様からどこで異世界人を仕入れてきてるのかを問いただしてから、騒ぎを大きくしてモデナには土地勘があるので退路はほぼ任せっきりになる。

 元命令違反の重罪人扱いのシルビアが、帝国に戻ってきて騒ぎを起こしたなんてことになったら、こちらの予想を遥かに超える帝国の何かしらの報復が予想されるためシルビアは、今回あくまでノータッチという計画になっている。


 一夜明けて早朝、睡眠を充分取り俺は集合場所のギルドの前で屈伸をしたり身体を捻って体を解しながらラフィールを待つ。馬車の傍でジギルとシルビアは見送りに来ていて二人で談笑していた。


「おはよう、タケル」


 ドアが開きラフィールが、いつも来ている服ではなく助けた異世界人の人が着ていたものを作り直して尻尾が通るように穴を開けたワンピースを着て、挨拶をしながら出てきた。もちろん俺も同じでいかにも捕まってますといわんばかりのボロボロのシャツとズボンに身を包んでいた。


 「さすがにこの格好でこの時間だと少し肌寒いわね」


 そう言いながらラフィールは両腕を抱くようにしてさすっていると爺さんとモデナが緊張した面持ちで出てきた。


 「協力してくれてありがとう、妹を助ける事が出来たら……いえ、出来なくてもアタシはあんたの駒として生きていくから安心して、気に入らなかったらいつでも爆破して殺してくれて構わない」

「……もちろん、そのつもりだ。だが、今はとにかくこれ以上犠牲者が出ないようにするためにも大元の貴族をなんとかしなければならない。そのために利用する、それだけだ」


 俺は冷たく言い放つと馬車に乗り、心配そうな顔で俺とモデナを交互に見てくるラフィールも後から乗り込んできた。


 「くそ、私が何でこんなことに……あの方になんと申し上げれば」

 「ちゃんと彼らを案内するんだぞ。『あの方』とやらの所に。もしこの作戦が失敗して彼らにもしもの事があれば私は、お前の人としての尊厳を奪い取り手足を切り落とし、死に絶えるのを酒を飲みながら見届けてやる。それが嫌なら分かっているな?」


 シルビアは諦め悪く喚き散らす貴族のおっさんを脅しつけ震えあがるのを虫でも見るかのような視線で見つめていた。

 昨日、作戦が決まったところでやっと起きたおっさんにはシルビアが俺に逆らったら爆発する刻印を入れて俺たちを罠に嵌めたりしないようにと保険をかけた。

 そして、モデナにも昨日彼女に約束させた刻印をシルビアにいれてもらってある。もうこれでモデナは俺の所有物といってもいい存在になった。だが俺は彼女に対して性的な命令など一切する気にならなかった。今回の作戦で敵からの護衛やらをやらせて、やはり妹の話が嘘で貴族のおっさんとグルだったりしたときは容赦なく俺は爆弾になってもらい死んでもらうつもりだ。


 「それじゃ行くわよ」


 モデナはそういってひとまず国境の砦を目指して馬車を走らせた。


 「無事に帰ってこい!」

 「君たちの無事を祈っている」

 「モデナ……気をつけてな」


 シルビアとジギル、そして爺さんがそれぞれ手を振って見送ってくれる。俺は遠ざかって見えなくなるまで、手を振り返してやがて見えなくなると座り直してこれから行く帝国の現状が、どんなものかと馬車の幌から見える街道をみながら考えていた。




 それから、しばらく気を紛らわせるためにラフィールと他愛のない話を続けて、2度ほど休憩を挟み俺たちは連合国と帝国の国境にある砦にたどり着き、俺とラフィールはあくまで捕えれた異世界人を演じるため無言で俯いていると、警備兵が幌の中を検分する気配を感じたが無言でやり過ごす。


 「いっていいぞ」

 

 不愛想な声がかかると再び馬車が動き揺れだす。


 「くそ、なんて日だ! 私としたことが……」


 検問を抜け帝国入りを果たして少し進むとおっさんが愚痴りだした。



 「静かにしなよ。あんたが妙な真似したら荷台に乗ってるあの人に爆破されちゃうわよ?」

 「分かっている!だがな、私が薄汚い異世界人に言いなりになるなど納得できるわけがないだろうが!」


 薄汚い……か。さてさてこいつをこき使ってる上の貴族、上流貴族とかっていうんだっけ、そいつはどんな反応してくれんのかねぇ……。俺はしばらくおっさんの愚痴を子守歌にしながら横になった。


 「夜にばたばたしてたのがは効いてるな。やっぱり眠気が取れない」

 「着いたら起こしてあげるから、そのまま寝てていいわよ」


 ラフィールに言われ俺はそのまま目を閉じた。馬車の揺れが絶妙に眠気を増長させ俺はストンと落ちるように夢の中へ旅立った。

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