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スタープリンセス☆プリティラビット

作者: しいたけ

「大いなる星の下に輝け! プリティバズーカ!!」


 30秒程の演出で射出された可愛い大砲は、敵の雑魚キャラを跡形も無く盛大に吹き飛ばした。


「キラリと解決♪」


 ウサ耳を着けた可愛らしい少女が決めポーズを決めると、変身が解かれ至って普通の少女へと戻った。


 ―――そう、ここは子ども向けアニメ『スタープリンセス☆プリティラビット』の中の世界だ……。





「またしてもプリティラビットにやられたか……」

「申し訳ありませんピーター総統」


 禍々しいウサ耳を持つ悪の化身『ピーター総統』の前に跪く少年。彼はこの作品における最初の中ボスだ。


「ゆけぃバッグスよ! 奴を倒すまで戻る事は許さん!」

「ははっ!」


 アニメも8話に入り、そろそろ最初の難関にぶち当たる時期。『バッグス』と呼ばれた少年はマントを翻し闇へと消えた……。


「アレがプリティラビットと呼ばれる少女、星野夢兎(ほしのゆめと)か……」


 民家の屋根から少女を見つめるマントの少年は、とても怪しい雰囲気を放っていた。音も無く屋根から飛び降り、少女の前に現れる少年に少女は驚き、目を白黒させている。


「やあ、初めまして」

「誰!?」


「僕の名前はバッグス。君を倒す者さ……ウサギさん♪」

「!?」



 本来なら『次週へ続く』のテロップと共にココでエンディングへ入るのだが、我々は待ちきれないのでこっそりと続きを……。



「大いなる星の(もと)に、変身!」


 オープニング、変身シーンもカットされ、9話の冒頭から戦闘モードへと突入する本編。時間の都合的に(負けイベントだから)仕方ないと言えば仕方ない。


 ウサ耳を靡かせるプリティラビットを見て、満面の笑みを浮かべるバッグス少年。両手でマントを広げると、軽やかにプリティラビットへと殴りかかった!!


「ハハッ、お手並み拝見と行こうか!」

「甘いわ!」


 バッグスの拳を素早く躱し、プリティラビットはその腕を掴み取った。


「プリティ―――卍固め!」


 ガッチリと決められた卍固めにバッグスの顔が苦痛に歪む! しかし渾身の力を振り絞りプリティラビットの固めを振り解くと、バッグスは手を上に翳した……。


「星の終わりに煌めく夢を打ち砕く!」


 謎空間から取り出された黒いオーラを持つ剣は、バッグスの手に収まり、天をも穿つ程の悪意を放っている。


「す、凄い力を感じるわ……! でも負けない!」


 プリティラビットが手を回すと、現在玩具メーカーから発売されているプリティバズーカが可愛らしいエフェクトと共に現れた。


「大いなる星の下に輝け! プリティバズーカ!!」


 30秒程の演出で射出された可愛い大砲。しかしバッグスはその砲撃を一刀両断! プリティラビットへと砲撃を弾き返した!


「キャー!!」


 弾き返された砲撃でボロボロになるプリティラビット。それでも尚立ち上がる姿はテレビの前の子ども達の声援を必死で背負っていた。


「……他愛も無いウサギさんだ」


 剣をクルリと回すと、両手で握り天高く振りかざすバッグス。


「喰らえ!!」


 振り下ろされた剣閃はプリティラビットの身体へ直撃し、プリティラビットは二回三回と地面を転がると、その姿は見るも無罪な程に朽ちていた。ウサ耳はもげ、服はボロボロ、靴は片方無い有様でテレビの前の子ども達の絶望が今にも聞こえてきそうな位だ。


「……くっ…………」


「ハッハッハッハッハッ!!」


 右手で顔を押さえ、高らかに勝ち誇った悪人笑いをするバッグス。二人を捉えた姿から本編はCMへと突入する―――



「輝く光 私に届け! スターファイヤーバズーカ!」


 いつもの玩具メーカーが映し出す、スタープリンセス☆プリティラビットの玩具CM。しかし、今日のCMは新しい武器のお披露目CMだ! 本編より先にCMでお披露目宣伝するそのやり方に、テレビの前の大人達は戸惑い、子ども達は新たな武器に胸を高鳴らせている!!!!


「スターファイヤーバズーカとスターダストソードを合体させて……放て、プリティビッグバン!」


 しかも『スターダストソード』なる新武器までもが登場! 誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントが一気に現れた様な衝撃に、全国のお母さんお父さんの阿鼻叫喚が連鎖しているぞ!!


 ―――ここで本編へ。



「……くっ、何て強さなの……」


 倒れるプリティラビットの前を優雅に歩くバッグス。そしてプリティラビットの前で立ち止まると、静かに上げた足で思い切りプリティラビットの顔を踏みつけた!


「ぐっ……!!」

「無様だな。だがお似合いだぞ?」


剣を握ったままプリティラビットをグリグリと踏み付けるバッグスの顔は幸せに満ちていた。バッグスは女の子を苛めて悦ぶ変態体質なのだ!!


「…………負けない!」

「んん? 何か言ったか?」


「……私は……負けない!!」


 ボロボロのプリティラビットから突如放たれる眩しい光。その光は四方八方へと伸びて辺りは何も見えない程に白い光で包まれた!


「な! 何だこの光は!!」


 思わず腕で顔を隠すバッグス。そして光が収まると、相変わらずボロボロのプリティラビットの手に握られていたのはスターバズーカであった。


「ふん! 悪足掻きを……」


「大いなる星の下に……光よ……輝け!」


 プリティラビットの服が可愛らしい星のエフェクトと煌めく流れ星で新しく生まれ変わる! 大変! 新しい戦闘服のお披露目だ! お父さんのお小遣いが危険水域まで達している!


 1分程の長い変身シーンで新たに生まれ変わったプリティラビット!


「…………」


 変身シーンの間は大人しく待つのが敵役の暗黙のルールだ!


 変身シーンが終わると、プリティラビットの構えたスターバズーカが輝きだしパワーアップ! スターファイヤーバズーカに生まれ変わった!


「小癪な真似を!!」


 バッグスが再び剣を両手で握り天高く振りかざした!


 大量の星のエフェクトと可愛らしいポーズ!

 ここから30秒程の長ったらしいスターファイヤーバズーカのシーンだ!


 今までより遥かに多い星のエフェクトと輝きが、振り下ろされた剣と正面から勢い良くぶつかった!!


「ぐ、ぐおお……!」


  ―――バァァン!!


 正面からぶつかり合った剣とスターファイヤーバズーカは相殺され、バッグスの剣は黒いオーラが消えていた。


「やるなプリティラビット……次に会った時が貴様の終わりの時だ」


 「そのままやれよ!」と言う大人達の声が聞こえてきそうだが、そろそろエンディング……これも敵役のルールだ仕方ない。



 エンディング前のCMは容赦無く新しい玩具の宣伝に勤しんでいる。ねだる子ども達と耳を塞ぐ大人達の攻防が手に取るように分かるぞ!


 エンディングが終わると次週の予告が流れ出した。


「大変! バッグスの罠で博士が捕まってしまったわ! 卑劣なバッグスはココで始末よ! 次週! バッグス死す―――お楽しみに! 大いなる星の下に……輝け♪」



 噛ませ犬の如き敵役の定め。哀れバッグスの命は後一週間しかない。だが我々は忘れない。一度はプリティラビットを追い詰め、全国のお母さんお父さんの鬱憤を少しでも晴らしてくれた彼が居たことを…………




読んで頂きましてありがとうございました!

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[良い点] 真の敵は画面外にいた……!(;´Д`) お父さんたちの対策としては録画してCMをカットし、なるべく新しいグッズの存在をぼかすことぐらいですかね……(涙) 確かに「魅力の悪」ですね(笑) …
[良い点]  檸檬さんの企画経由でまいりました。お初にお邪魔いたします。  子どもの頃に夢中になったアニメや特撮、今度は親の側になると、まあ一緒に面白がって観てますが、玩具だけはねえ、買う気になりませ…
[良い点] ……ん? と思いながら読んでみて、んっ!! と思わされました。要は「主役が悪人なんかい!」と言うお話なんですね。 [気になる点] 確かに昔のPキュア等は肉弾戦も有ったらしい(見たことはない…
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